Darling(花宮)
※同棲編設定
なんで好きになっちゃったんだろうね!
Darling
「ちょっとまって、部屋に携帯忘れたかも!」
「早くとってこい」
大げさすぎるくらい大きなため息。部屋に携帯忘れてきただけなのに、なんでそんなに呆れたような顔するのよ。せっかくきたエレベーターを見送って、部屋へと引き返す。でかける前に友達に連絡返して、トイレ行ったけどその後ってどうしたっけ?忘れないようにバックにいれたはず。でもない。今日の服はポケットついてない。玄関にもない。仕方ないけど、ちょっと脱ぐのが面倒なとびきり可愛いサンダルを脱いでリビングへ。あ、あった。そうそう充電しなおしてたんだっけ。
「おまたせ、充電してたの忘れてた!」
「バーカ。普通は忘れねーよ」
その小馬鹿にしたような目線!デート前っていうのにしょっぱなからむっとした気持ちになる。なんでこう、もっと優しくしてくれないんだろ!
「久しぶりにデートするんだから優しくしてよ!」
「この炎天下の中、でかけてやるんだから充分ヤサシイだろーが」
はいはいそうですね、ほんと腰が重たいんだから。ポケットに突っ込んだ手はどうやら私とは繋ぐ気はないらしい。仕方ないからそのちょっと好きだなって思う二の腕に腕を絡める。そして上からため息。でも振りほどかれないだけマシかな。
ショッピングモールに水族館、私の大好きなカフェでケーキを食べて一緒に電車に乗って帰宅。全然楽しくなさそうだから、楽しい?って聞くとべつにって言われるし、じゃぁ花宮くんの行きたいとこ行こうよって言うと、ないって言うし。でも、買い物中、フロアもう一周したいって言えば荷物持ってくれるし、水族館はおみやげコーナーまで付き合ってくれたし。すっごいメルヘンなカフェでお茶したいって行った時はさすがにすごい嫌な顔されたけど、それでもしぶしぶ付き合ってくれて。ね、ほらなんか、こんなにそっけないのに好きだなって思っちゃう。
「しぬほど疲れた」
「大袈裟!」
どさりとソファに沈み込んでぐったりする花宮くん。私もさすがに脚が痛い。
「でも楽しかったよね、また行きたいよね」
「・・・・・・・」
だってまだまだ行きたいところ沢山あるの。家の近くに出来た新しいパスタ屋さんとか。夏にはせっかく新調した浴衣を着てお祭りにだってでかけたい。
「友達と行って来い」
「友達と遊びに行ったら花宮くん寂しいでしょ?」
「…ねーよ」
くわっと大あくびひとつ。どうやら眠気がきているらしい。
「寝る」
「ちょ、ねるならベッド行って。邪魔よ」
「・・・・・」
無視。あぁもうほんとに寝ちゃったよ。すやすやとそんな寝顔で寝られたら無理に起こせない。こんなとこで寝たら身体痛めないかな。
あーもうなんで、優しくないし冷たいし。20回に1回くらいしか優しいことしてくれないのに花宮くんが好きなんだろ。すぐとろいってせっつくし、待っててくれないし。世界中、いや日本中、星の数ほど男の人っているのに、どうしてたったひとりが花宮くんなんだろ。
「…私って変わり者だな」
だってそれでも好きなんだもん。ねえ?
こりづに付き合ってね?
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