Magic of Love(花宮)


きっと魔法が使えたって、そんなこと忘れるくらいきっと、絶対、この魔法からは開放なんてされないよ。




Magic of Love






花宮くん相手に、とろりとした空間とか、うっとりする言葉とか絶対貰えないってわかってるのに、捕まえたいとかこっち向いて欲しいとか思ってしまうなんて、おかしな話しだな。

「そこの2軍マネージャー、」

「え?あ、はい」

甘い恋とか愛だとか、一番無縁そうな彼に、わたしの心臓だけは正直。今日こそは、明日こそは、わたしにトリコになってもらいたいなって、あぁきっとこんなばかみたいなひとりよがりな悩みからは魔法がきれるまでずっと続くんだろうな。

「週末の練習試合、2軍の引率担当」

それだけ言うと、わたしの返事も待たずにレギュラーの練習している方へと戻って行った。

とろいなって思われてたり、使えないなって思われてたりするのかな。でもしょうがないの。きっと花宮くんがバスケ部で、そしてわたしがマネージャーであって、こうして必要事項でも話しかけてもらってるうちは、花宮くんから目をそらすなんて、絶対に出来ない。


どんな仕草がすきかな?どんな女の子が好みかな?
果てしない疑問はいつまでたっても、ぐるぐると行き場をなくして、このまま体内を形成するひとつの成分になってしまうかもね。





「花宮くんも、練習試合、行くの?」

「めんどくせーけど監督兼任してんだ、当たり前だろ」

バァカって聞こえてくる変わりに、だるそうにあくびを噛みしめてる。
そっか、てっきりわたしが遠足の先生みたいにぞろぞろとバスケ部を練習試合場所に連れて行くのかと思った。なわけなかった。

それなら、一粒、食べてきたのに。
まさかあんな謳い文句、本気で信じているわけじゃないけれど、願掛けみたいに、クセみたいに一粒食べてから部活に出るようにしてたんだけど。
今日は来るとは思ってなかったから、まだ一粒も食べてない。


「おまえ、今日は食わねーの?」


花宮くんの声が表情が、わたしにとっては呆れるくらい中毒で、麻薬みたいで、目が離せない。何を?って聞き返しながら、じっと目を見ていたら、なぜか手で目を覆われた。視界が一気に暗くなって、でも、それより、距離があまりに近くて。


「変なお菓子だよ。いつも食ってんだろピンクのきらきらしたヤツ。それよりやめろ、その目」

「目?」

パチリ。視界がまた明るくなって、さっきの景色に戻ってくる。

「視線がうるさい。声に出してなくたって、目から全部筒抜けてんだよ」


数秒の沈黙、ゆっくり言葉が脳に浸透してぶわっと一気に顔が熱くなった。そんなつもりじゃなかったのに。

「話してる時、部活中、ぼーっとしてるわけじゃなさそうだからほっといたけど、いい加減うるさい」

じっと見ていた数秒前とは正反対に、今度はまともに顔が合わせられない。

な、何か早急に魔法を!!魔法をかけなきゃ!

「は、花宮くんもこれ一粒食べたら、きっとわたしにトリコになるよ!!」

「なんでそうなんのか一度考えてから出直して来い」





そんな魔法がもし使えてもドキドキできるの?













※@Perfume
大好きな曲なので、相性悪いかなと思いつつも花宮くんで妄想してみました(ノ∀`)
ヒロインの食べてるお菓子とはピュレグミです。
ピュレグミのCMでMagic of Loveが使われていたので、関連させました。
毎朝ピュレグミを買って朝練に向かうようなヒロインをイメージしました。




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