スウィートドーナツ(花宮)


ママの作ってくれる甘い紅茶がだいすきなの。

って遠回しに甘えてみたのに、あっそなんて聞いてるのか聞いてないのか手渡されたのは砂糖なんてひとスプーンすら入ってない真っ黒なコーヒー。

わたしのママもブッラクコーヒー大好きだったからそれに習ってわたしも飲めなくはないけれど、欲しかったのは苦い飲み物ではないのに。

「わたしがほしいものじゃないよ」

なんて怒ってみてもしらんぷり。
自分はさっさとソファに行って、これまた苦いチョコレート(私のお土産)をつまみだした。

甘くないチョコレートなんてもっと欲しくない。
甘くなるために生まれてきたのに、わざわざ苦くなって加工されたものを好きだなんて、つくづく真くんは捻くれ者。

「そんなのチョコレートじゃないよ」

あったかい真っ黒な飲み物を口につけて慎重に舌にのせる。おいしいけど気分じゃない。ドーナツと合わせて飲みたい。

「飲まなきゃいいだろ」

カイロ代わりに持っていたコップを取り上げられ、机に置かれた。
ピンク色のカップをぼんやり目で追っていたら、顎をぐっともたれて唇が合わさった。苦いなって思いながらそれでも甘受してしまうのは。

「おまえの糖度に合わせてたらカロリー摂取しすぎて胃もたれする」

アホみたいに砂糖摂取すんなって言われたって、わたしの脳は身体は心臓は神経はまだ全然足りないって叫んでる。

でも、ひとつキスされて、ふたつめに目線があって、みっつめに腕をひかれたら、ママの入れてくれる紅茶よりも甘ったるい気持ちで満たされるなんて、真くんってほんとドーナツみたい。



カロリー高い恋には注意!








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