04
驚きで声が出ないわたしは、極度の緊張感から体が固まる。やばい、みつかった、さっそくだ。
あれだけバスケ部には注意しようって決意してたのにやらかした。
なんと返事していいか口を鯉の様にパクパクしてるだけで一向に言葉がでない。
わたしのことは、いっそ見なかったことにしてくれてればいいのよ!
「まさか、いろはチャンは俺がこの学校にいるってことぐらい入学初日から知ってたよな?幼馴染のよしみで声かけてくれよ。」
まるで楽しいオモチャを発見した様な、にぃっとした一見笑顔でその実嬲ってくる視線で見下げてくる。
どうしよ、なんか言わなきゃなんか言わなきゃ!
から回ればから回るほど頭真っ白になるし真くん怖いし目元がじわっとしてくる予感がする。
そんなとこ見られたらまた「泣き虫」なんて意地悪言われるだけだ。
一か八かか勢いよく腕を自分の方へ引くと思いの外、あっさりと真くんの腕から解放された。
真くんもまさかわたしが腕を振り払う強硬手段を使うとは思ってなかったのか、一瞬呆気に取られた様な表情をした。
チャンスとばかりに校舎へダッシュ。ローファーで走ったのが始めてで走りづらいし、体力測定以来のダッシュに息がきれる。
下駄箱に着いた時には膝がガクガクしてる。
これ以上は走れない。幸いにも真くんは追ってきてない。
これから真くんに遭遇する度ダッシュするなら、やっぱり部活入って体力つけるべきかも。
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