◎失恋系恋愛(山崎+主→花宮)
人生で初めて失恋を経験しました。・・・思わぬ形で。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「おい、大丈夫かよ」
山崎くんが遠慮がちにゆらゆらと肩をゆすってくる。大丈夫なわけないじゃん。
「・・・・て」
「え?」
「ほっといて!!!!!」
突如出した大声に山崎くんの肩がびくっとなる。知ったことか。山崎くんに非はないとはいえ、恨まずにはいられない。山崎くんと朝の花の水やりさえ被ってなければ昨日と同じように私の視界はきらきらとしてた。
“花宮彼女いるぞ?”
まさか他愛もない会話の流れから残酷な一言をぐさっと突き刺されるとは全く思わなかった。花宮くんが好きなんて誰にも、勿論山崎くんにすら言ったことなかったけど、流石にこのわたしの落ち込み具合に山崎くんですら察したらしい。
「いいよ、ごめん。八つ当たりだね、ごめんね。わたしのことはほっといていいよ。」
山崎くんへの八つ当たり紛いにすら落ち込んできた。二重の責め苦に今日はもう帰りたい。帰って寝たい。
「ほっとくって…ホームルームどうすんだよ」
変なとこで気にしいらしい。
出ないという意味をこめて膝の間にいれた頭を左右にゆする。こういう時、一緒になって慰めてくれたり話し聞いてもらいたいって思うから、みんな恋愛話しってするんだろうな…
こんな状況に全く慣れてないらしい山崎くんは完全に参っているらしく、じゃりじゃりと砂をこする音がするだけでまだその場にいる。
この状況、見つかった時に逆に言い訳しづらいからもう教室戻ってくれていいのに。ついでにわたしは早退したってうまいこと担任に言ってくれたら完璧。
「…悪かった。知らなかったとはいえ軽々話す内容じゃなかった。俺も実際に花宮が彼女といるとこ見たわけじゃねーし、軽はずみだったよな」
「うん、大丈夫ありがと。いいの、でもほんと泣くかもしれないし怒鳴るかもしれないし、何するか分かんないから大丈夫。」
もういっそ告白でもしてばっさりフられて泣きたい。この微妙なショック状態に前にも後ろにも進めないこの行き場のない感じで泣くに泣けない。泣きたい。大声で泣き叫びたい。だがしかし気持ちとは裏腹に全く泣けない。
「…花宮好きだったのマジで知らなかった。」
「うん、」
誰にも言ったことないもん。
「知り合いだったのかよ」
「ううん」
知り合いですらない。
「え?知り合いですらないのに好きなのかよ?」
「うるっさいな!わたしだって知り合いポジションに位置したいわよ!」
アホか!おまえのは恋愛じゃねーよ!と大変失礼な事を浴びせられ、ひきづられるように教室につれていかれた。なんでここで世話やき発揮してんの?ていうかなんであんたに恋愛のこととやかく言われなきゃなんないの?と思ったけれど、花宮くんと引きあわせてくれつという契約をした。
「現実で恋愛しろ!あと花宮の性格はド底辺だぞ」
不本意ながらもどうや山崎くんのおかげで泣いている暇はなさそうだ。
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