◎インハイに備えよう!(荒北/新開)


「やぁ靖友。昼休み中にすまないね、寿一からの伝言だ。」

「福チャンからァ?」

「予定していた部活前のレギュラーミーティングは延期になった。いつも通り着替えて集合で構わないそうだ。」

「リョーカイ。」

「尽八が後輩に伝言しに行ってくれてるから拡散する必要はねーぜ」

お昼休みに隣の席の荒北と、すっかり忘れていた宿題を午後の授業に備えて片付けていると超絶イケメン男子が教室にやってきた。思わずガン見していたにも関わらず、そのイケメン男子は爽やかに(私にまで)軽く手を振って去っていった。なんだあの少女漫画的顔面の持ち主は。

「荒北、いまの、だれ?」

「あァ?新開?部活一緒のヤツだヨ」

「え、本当?やばくない?イケメンじゃない?」

箱学チャリ部はとにかく競合の一言に尽きるが、正直あの派手なナリした東堂君のイメージが強すぎて他がいまいちよくわからない。

「なに、松岡チャンメンクイなの?」

「メンクイっていうか、みんなあの顔は好きでしょ。」

「そーかア?ただの大食い野郎だヨ」

「去年一回だけ試合見に行ったけど、いたっけ?レギュラー?」

「レギュラーだけど去年一年間アイツ休んでっから」

「だよね。絶対いたら気づく。一回も同じクラスになったことないや〜」

目鼻立ちくっきりフェイスに、緩いウェーブがかった髪の毛があんまり日本人っぽくない顔のせいか一度見たら忘れられない。東堂君も十分すぎるほど目立つけど、新開くんも目立っている方なんじゃないのか?

「ファンクラブでも入ってくればァ?」

「えっあるの!?まさかあるの!?」

「あるらしーヨ?」

す、すごい。さすがチャリ部。しかし正直3年になった今更ファンクラブに入るとかちょっとそれは出来ない。

「今年インハイ箱根だっけ?絶対見にいくね。」

「せめて応援っていう建前忘れんなヨ」

「新開くんってどんな子タイプ?」

「人の話し聞いてンの?」

「ちなみに新開くんって何得意なの?荒北みたいに福富くんのアシストしたりするの?」

「ウチの部は情報漏洩に厳しいンで〜」

「私宿題終った。バイバイ荒北」

「スプリンターだヨ!!!」

この調子で荒北から情報を掠めて、今年のインハイは効率よく回るか!



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