◎2016ハピバ


◎花宮くんと夢の国


「私は開演時間直後にパークインしたい派なんだけど」
「そんな宗派はねーよ」
「すでに開演から20分たってますね」
「朝っぱらからわけわかんねーポップコーンの入れ物探してたヤツが寝言言ってンな」
「結局見つからなかったけどね!」

モノレールの中から待機列を眺めてるのってすごく切ないよね。



「久しぶりすぎて飛び跳ねたいかもしれない」
「オイ 半年前に行ってただろーが」
「あれはランド。花宮くんいつぶり?」
「高3の遠足以来」
「ウソでしょ…」
「山崎が携帯落とした時はさすがに殴りたくなったな」
「夢の国、出禁になるよ?」

携帯紛失常習者は首からぶら下げて!



「とりあえず、耳!耳買お!」
「クハッ これでも被ってな お似合い」
「…ワニに食われたみたいに見えるけど気のせいかな?」
「おい、やめろ、オイ!」
「ウサギ系男子〜(笑)私こっちの女の子のウサギにするから、花宮くんそれね(笑)」
「ざっけんな ウサギとかカワイコぶってんじゃねーぞ!」

激闘の末、無難に男女マウスになりました。ただのバカップル。


「アレ貰おうアレ!お誕生日シール!」
「なんだそれ」
「まぁまぁ…あ!オネーサーン!彼が誕生日なんですけど、描いてもらってもいいですか?!」
「(ナニを)」
「これを、目立つとこに貼ってると、みんなからお祝いの言葉もらえるよ!」
「やめろ!しかも誕生日過ぎてる!」

カチューシャの耳に貼り付けられそうになり、思わず羽交締めにしてしまいました。(花宮談)



「花宮くん、これが待ち時間をリアルタイムで教えてくれるアプリなんですけどね…」
「あーそんなのあったな」
「さっき花宮くんのスマフォにも同じアプリ入れといてあげたんだけどね」
「頼んでねーよ」
「これを見ながらファストパスの時間も計算しつつ、園内の地図と照らし合わせ、最短かつ効率の良いスケジュールをお願いしたいです。」

今こそその頭の良さを発揮するのだ…!


「実はね。今日ディズニー行くって花宮くんぱぱにちらっと話したら」
「オイ」
「レストラン予約しといたから食べておいでって」
「オイ」
「イタリアンなんだけど!一回入ってみたいと思ってたレストランだったの!」
「あのクソジジイ本当キモい」
「お土産買って行かなきゃだね〜」

花宮ぱぱとはメル友です。


「クソ寒いのにテラス席…ねーわ」
「でも天井から暖房ついてるから寒くない…!」
「ソーダナ」
「見て!結婚式してる!カヌー!すごい!スーパー羨ましい!いいな〜すごい幸せそ〜〜いいな〜〜」
「寛容な男と結婚しろ」
「新郎はなんと!二着のプリンススタイルからタキシードを選べます!」
「頭沸いてんのか?」

どれだけの貸しを花宮くんに作ればディズニーで結婚式してくれるかな…


「ショーすごかった!マリーちゃんって喋れる設定なんだ…」
「マッパだったな」
「やめて!」

ミッキーってドラムも出来るなんて、さすがアメリカンヒーロー。


「ギョウザドッグ、思ったよりはうまい」
「ねぇアプリコットパイ…どう?」
「ん あめーな」
「ウキワマンの袋もったいないね」
「このシッポ…すげー色だなオイ」
「寒いけどアイス食べていい?」
「腹壊すからやめとけ」

食い過ぎ


「実は夕方、ホテルのディナー予約したの」
「まだ食う気かよ」
「違う!花宮くん誕生日だったし…当日はなんかいつもと変わらない感じだったし、サプライズ?的な?」
「誕生日にこだわりすぎだろ」

真っ青な空の向こうには人の悲鳴が聞こえてくる山が見える。さっきは古風なマンションから絶叫が響き渡っていたし、長閑な街並みとは一見不釣り合いだ。おまけに夢の国とは無縁そうな花宮くんがミッキーのカチューシャ!

「ふふっ」

ミッキーの耳が黒髪から生えてるから妙にリアルでおかしい。

「なんだよ。」

私の首から下げてるバケットの蓋を開けて、地道に消化してくれるポップコーン。お陰様で、全然並ばずにファストパスだけで乗っているせいか、思ったより中身の減りが悪い。

「花宮くん、ミッキー似合う。」

ぽかん、とした表情から一転。デコピン。

「イタッ」
「バァカ。誰だよつけるの強制って言ったヤツ」


あぁ、もうなんだか。
その表情、写真に収めたい。




2016 Happy Birthe Day!



戻る
top
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -