「…………え」


補修最終日。
目が覚めると、


「…、起きたか」


土方先生に、膝枕してもらっていました。

___サッ!

「…………」
「お前な…」
「一応確認しただけですー」


私は尋常な早さで飛び起きると、掛けられていた土方先生の上着が落ちるのに目もくれず、制服が乱れていないかを確認した。


「はあ、ったく、お前俺がガキに発情すると思ってんのか?」
「ないとは言い切れないですね」
「…………」


というか、思ってなきゃ確認しませんしー、と睨まれているのに気付かない振りをして笑い飛ばしていると。


「…みょうじ」
「はい?」
「帰れ」
「え」


おい、何だこの展開。


「や、あ、あの、怒らせちゃったなら謝りますけど?」
「違う、そうじゃねぇ」


土方先生は一瞬ふわりと笑みを浮かべると、もう一度真剣な表情に戻り、口を開いた。


「お前、熱あんだろ」
「!!」
「……図星、だな」


土方先生は探るような瞳で私を見つめたあと、呆れた表情で先程まで読んでいた本を閉じた。


「なんで先に言わなかったんだ」
「微熱かと思ってて……」


実際倒れてしまったのだから、貧血にでもなってるのだろう。


「それに今日で補修も終わりだし、サボりたくなくて…」
「ったく、馬鹿は風邪を引かないんだがな。まあ、こんだけ勉強すりゃちったあお前のその頭も良くなるってか」
「……はあ」


心配したり、貶したり…
まったくどう対応すればいいのか分からない。
そして、私が発熱特有のだる気に座ったままでいると、不意に額に冷たい何かが触れた。


「…熱いな」
「ちょ、ひ、土方先生!」
「馬鹿、騒ぐんじゃねぇよ」


土方先生は私の額に触れたあと、落ちてた上着を羽織り私の方を見下ろした。


「ほら、送ってってやるから支度しろ」
「え、や、そんな、大丈夫ですって!」


それにあれだ。前回の補修でのこともあり、結局私は沖田先輩を名前で呼ばなきゃいけなくなったのだ。
絶好のチャンスとばかりに機嫌を良くしている沖田せn、総司先輩が今日のことのように頭に浮かんでくる。
だけど、土方先生は有無を言わせない目で私を射抜き、強引に腕をひっぱり立ち上がらせる。


「…ひゃっ」
「ほら行くぞ」


そう言って軽々私の荷物を持って、土方先生は先に行ってしまった。
突然のことにうまく思考が付いていかない。きっとこれも熱の所為だと思うんだけど…
私が古典準備室の中で立ち止まっていると、不意に土方先生が振り返った。


「…そんなにだるいか」
「え?」
「立ってらんねえってんなら、少し考えるが」
「あ…、大丈夫ですから!今行きます!」



一目惚れ注意報



(明日からお前のその馬鹿っ面が見れねえと思うと、)
(仕事に身が入んねえな…)
(ぶえっくしょい!)
(また沖田先輩、私の噂でもしてんのかな…)


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