それはまさに地獄宣告のようなものだった。


「今から学力テストの結果返すぞー」


どうやら今回の結果で少人数のクラス分けが決まるらしく、クラス中が「おおー!」と沸き立っているけれど、そんなことは私はどうでも良かった。なぜならば、私は昨日の夜中まで続いた沖田先輩&ナマエとのメールのせいで私はすこぶる眠かった。
生憎、次は土方先生の授業で寝るわけにいかないので、学活と言う名の睡眠時間の間に寝てしまおう。きっと原田先生なら寝かせてくれ、


「みょうじー」
「………」
「みょうじー?」


……ないようだ。


「なんだ寝てんのかぁ?」
「…………」


そうなんです、寝てるんですよー。うん、多分結果用紙はきっと先生が後で個人的に渡してくれるだろう。私は勝手にそう自己完結して寝ようとした時。


「えーっと、一年三組みょうじなまえ。数学、にじゅ「先生えええええええ!!!!」


ちょ、何この先生!?
て、点数バラすとか、あああああり得ないんだけど!!


「よう、みょうじ。目ぇ覚めたか?」
「………おかげさまで、ばっちり覚めました」
「くくっ、そうかよ。ほら、結果」
「あ、ありがとうございます……」
「次からテスト返し中は寝るなよ?」
「……なるべく努力します」


私の反応にクラスが笑っているのが見えた。うー、恥ずかしい。はらり、と紙をひっくり返せばそこにはとても残念な結果が記されていた。まあ、予想通りといえば予想通りだけど。
私の所為で中断されてしまったテスト返しが再会され、生徒の名前が呼ばれていく。私がそれを聞き流して寝ようとした時、ポケットの中で携帯が震え始めた。
こんな時間にメールしてくるなんて、私の考えつく限り一人しかいない。まったく、沖田先輩も暇な人だ。………でも、授業中に携帯を開くわけにはいかないし………とりあえず、スルーしよう。私はもう一度眠りについた。



+++



「なまえー?」
「………ん、おはよう」
「…うん、おはよう。ちなみに本鈴まであと4分」
「わーお」
「ね、置いてっていい?」


もー、古典科室遠いんだからさあ!もっと早く起きてくれないかなー。……とナマエの小言を聞きながら、古典の準備をする。するとまだ教室にいたのか、原田先生が出席簿を肩に担いだままこちらへと歩み寄ってきた。


「なんだみょうじ。まだ起きてなかったのか?」
「たった今さっき起きました…」
「ったく、ガキなんだからいつまでも起きてねぇで早く寝ろよ?」
「………はぁい」
「ああ、それと、補習は絶対さぼるよなよ?」
「え、補習?」
「おいおい、聞いてなかったのか?古典で赤点取ったやつは補習だぞ」
「げ、よりによって古典とか……最悪だ…」


ま、精々がんばれよー。あの人のことだし、お前がちゃんと理解するまで補習は続けるだろうしな。

そういって原田先生は苦笑すると、私の頭をぽんぽんと撫でて廊下へと歩き出した。教室のドアを通り過ぎる直前、原田先生は「あ」といってもう一度振り返った。


「みょうじー、お前、次も保体赤点だったら補習だからなー」


そういってニヤリと原田先生は笑うと、今度こそ廊下へと消えていった。


「なまえってば羨ましいなあ。原田先生と補習とか」
「ちょ、赤点取る前提で話しないでよ!」
「え?赤点取らないの?」
「取りたくて取ってる訳じゃないですぅー!」


このあと、原田先生と補習出来るなら、赤点も悪くないなぁ…と一人妄想を繰り広げる彼女を置いていったのは、少し後の話。



オーマイガー!
(ほう、補習の分際で遅刻とはいい度胸だなあ?みょうじ)
(……あ、あははー(早くも命の危機…!?))



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