「エリシアちゃぁん!」
「いやあ!パパお髭いたぁい!」
「そうか!じょーり、じょーり!」
「いやあーっ!っへへ!」


あのあとエドワード君とアルフォンス君はヒューズさんにより自宅へ強制連行された。……なぜか私も、だけど。
家に着くなり愛しの娘と再会したヒューズさんは、見ているこちらも微笑ましくなるようなスキンシップを玄関先で永遠としていた。このままだと本当に永遠と続きそうだと思ったグレイシアさんがヒューズさんに私たちを紹介するように促した。


「ほら、今日のお客さんエルリック兄弟と、シエルおねえちゃんだ!」
「大っきい!!普通ー、…小ちゃい」
「ぷっ」


エリシアちゃんが並んでる私たちを指差してそう言った。おそらく、普通ー、というのは私のことだと思う。確かに私はエドワードのアンテナの高さまで身長はある、…と思う、いや、思いたい。ので、そう考えると私は思わずぷっ、と吹き出してしまった。


「っ!!エリシアちゃん、俺はエドワード・エルリック。こっちが弟のアルフォンス・エルリック。分かる?弟なの…っ!」
「お兄ちゃんなのになんで小ちゃいの?」
「こ、こんな子供にまで小さいって……っふはは」
「あああ!??今なんか言ったか!?」
「っはは、大丈夫ですよ、背なんてすぐ伸びますって」
「てんめぇえ!!」
「ほらほら泊めてもらうんだから大人しくして」
「ぅおらあっ!離せえっー!離せアル!泊めてくれるなあああっ!!」


アルフォンスが暴れるエドワードを羽交い締めにしながら玄関を進んでいくのをなにげなしに見ていると、グレイシアさんが声をかけてくれた。


「久しぶりね、シエルちゃん。今日は泊まらないの?」
「…お久しぶりです、グレイシアさん。私は…今日はロイさん達と軍の宿舎に泊まることになってるので」


数年ぶりに会ったグレイシアさんは、…あの頃と変わらない優しい瞳でそう私に語りかけた。
セントラルに来たらまずここに来ていろいろ…話そうとしてたことがあったのに。
こうして先にグレイシアさんに声をかけられてしまい申し訳ない思いでいっぱいになった私は思わず視線が下を向いてしまう。


「あらそうなの?残念だわねぇ…。じゃあ、また今度ね」
「はい…、すいません」
「やだ、謝らなくてもいいのよ?シエルちゃんが元気なら私はそれで十分だもの」
「ありがとう、ございます。…また必ず、来ますから」


私はグレイシアさんに軽く頭を下げ、背を向けて歩き出す。家の中ではヒューズさんが飯にしようという声が聞こえた。




いつかの日々に心を焦がして、

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