たべちゃうぞ
「ぜろすは、コウモリだよね。」
「…はい?何がです?」
「どーぶつにたとえたらー、のはなし。」

わたしがそう言うと、あぁ…と納得したようにぜろすはうなづいた。

「あなたは…猫、ですね。」
「どこが。」
「気まぐれなところが、ですよ。」

…きまぐれか?わたし。


「猫…猫かあ〜。うーん…」
「おや?ご不満ですか?」
「猫はコウモリを捕食しちゃうよ?」
「おや、それは困りますねぇ」


そう言って、さしてこまってない様子でにっこりと笑った。

「でもぜろすはまずそうだなあ…」
「そうですか?――じゃあ………」

……試食してみますか?


聞こえるか聞こえないかというくらい、小さな声でつぶやいたぜろす。

そして落とされる、

あまい

あまい

きす。


唇が離れると、そこにはいたずらっこみたいな笑顔。

「ね?意外と…おいしいでしょ?」
「…う…うん。……意外と、ね。」

言って、私たちはもう一度。

くちづけを交わす。



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