NARUTO-ナルト- | ナノ


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「ナルト達、全員参加かな」

「さて、どうかな。どのみちスリーマンセルでしか受験できないけどね」







カカシと共に待機室で部下を案じていたカノトは通りすがりの同期・みたらしアンコから差し入れで貰った団子を一人もぐもぐと食べていた。


決してカカシにあげたくないわけではなく、彼があまり甘い物を好まないと知っているのでカノト一人で食べている。
彼もまたカノトが知っていると理解しているので特に言うこともない。







「あの子達には黙ってるんでしょ?
サクラは慎重な子だし受けなさそうだけど…」

「ナルト達にスリーマンセルが条件だって言ったらサスケやナルトが無理にでも誘うか、サクラの場合は意志がなくてもあの二人…少なくともサスケの為に受けようとするだろう?
自分の意志じゃないと意味がない。」

「…確かに。サクラならやりそう」






頬杖をつきぼんやりと空を見つめるカノトがごくん、と含んでいた団子を飲み込むのを向かい側から見て"頬杖つきながら器用に飲み込むな"と内心苦笑を溢してカカシは片手で開いている愛読書に視線を戻す。







「あ、そうだ。カカシ、」

「んー?」

「いつも作ってくれてるし今日あたしがご飯作るよ。何食べたい?」

「え、オレが作るよ?」






愛読書に戻した視線が再びカノトへと向けられる。






「前の里外任務からずっとごちそうなってたから。
もう傷も治ったし」

「いや、オレが勝手にやってるだけだから気にするなって。」

「もう怪我しないよ?」

「しないに越したことはないけど、怪我したらしたでまた消毒するから大丈夫v」

「〜〜〜っバカ!!」

「…………何、アンタ達もう付き合ってるの?」

「紅」






いつぞやの"消毒"を彷彿とさせるカカシの言葉にかぁぁ、と一気に頬に熱が集まるのを感じたカノトが悪態をついた時、いつの間にか入口に立っていた紅が呆れたように腕を組んでいる。






「違うから!!!カカシがからかってくるだけ!

あ、そうだ!あたしナルト達の様子見てくる!じゃね紅!!」







片手で顔を隠し半ば逃げるようにしてカノトが紅の側を通って待機室を後にする。







「…ちょっとカカシ、」

「…何も言うな」

「何もアンタがヘタレとか言いたいんじゃないわ、付き合ってもないのにカノトの家に押しかけてるわけ?ってこと。
言っとくけどちょっとでもカノトの意思にそぐわない事してみなさい、ただじゃおかないから」

「待て待てそれこそ誤解だ!
…前の任務でアイツが怪我したから飯作ってたんだよ。」







滑り落としそうになったイチャパラを慌てて空中で拾いカカシはやや軽蔑の視線を向ける紅に弁解する。





「あら、なら下心はないと?」

「言ったら嘘になる。
…ま、前までお互い避けてんのは知ってたからアイツがこの間の長期任務から帰って来てからはコミュニケーションはマメにとってるしね」

「………………」

「ほら、胃袋掴んだら勝ちって言うじゃないの」

「今時あんまり言わないわよ…」








悪びれもせずあっさり答えたカカシに紅は呆れたように小さく溜息を溢した。








ーーーーーーー
ーーーーーー







サスケの背後を取ったロック・リーの姿を捉えたカノトはすかさずホルスターから抜き取った苦無を投げた。


隣には道中合流してしまった亀がいる。





ガッ、とリーの腕に絡んでいる包帯の端が苦無によって壁に縫いつけられた。







「コレは!?」

「「!!」」

『そこまでだ、リー』







亀から同期である男の声が室内に響いた。


わざわざ演出必要はあるんだろうかと呆れながらもそこから動かずにカノトは腕を組んで成り行きを見守る。







「くっ」

「サスケ君!!!」







固定された包帯の反動でサスケが放り出されたが離れた場所からサクラが駆け出しサスケが地面とぶつかる直前で間に滑り込んだ。



一方、リーは亀の数m前で着地し片膝をついて頭を垂れる。




「キャッ!!」

「カノト、ねーちゃん…?(いや、それより…サスケがやられた!?オレが気絶してる間に何があったんだってばよ………)」

「大丈夫!?サスケ君!!(動揺してる…サスケ君が受け身もとれないなんて…!)」







焦った表情でサクラがサスケに声をかけるも、写輪眼が通じなかったリーに対して動揺が隠せないサスケにカノトは目を細める。





今の一瞬だけでもカカシが言っていた"サスケの焦り"を垣間見たような気がした。







「み…見てらしたんですか…」

『リー!今の技は禁じ手であろうが!
カノトが止めたから良かったものの!』

「す…すみません、つい…
カノト先生もご迷惑をおかけしました…」

「まぁ、未遂だったしあたしは良いけど」







小さくなるリーに苦笑を溢すと、対照的に亀はキッとリーを睨みつけた。
ビクッと身体を強張らせたリーは焦りながら口を開く。







「し…しかしもちろんボクは"裏"の技の方を使う気はこれっぽっちも…」

『馬鹿め!!そんな言い逃れが通用すると思うか!
忍が己の技を明かすということはどういうことかお前もよく知っている筈じゃ…』

「オ…押忍」

「(暑苦し…)」







やや引き気味に亀の横から離れてサスケとサクラ、二人に駆け寄ったナルト達三人の許へ歩み寄る。







「大丈夫?」

「カノトねーちゃん、あれって亀だよな!?」

「そうね。」

「亀でも忍者の先生になれんのか!?」

「は?」






ナルトの言っていることがわからず首を傾げると、後ろからボンッという音と共に周囲の気温を上げかねない男の声が室内に響いた。







「まったく!青春してるなー!お前らー!!!」

「げ…(うるさい奴の本体が出てきた…)」





契約獣の忍亀の上に現れたマイト・ガイに引き攣った表情を浮かべたカノトの隣、ナルト達三人はガイを見て驚愕していた。






「!」

「!!」

「うっ…うっげええええええーっ!!!もっと濃ゆいのが出て来たってばよー!!」

「あっ、ナルト達はガイと会ったことないのね…」






キラリと爽やかに(自称だが)八重歯を輝かせるガイの登場にナルト達は衝撃からなかなか立ち直れずにいた。






「激濃ゆ…」

「激オカッパ…」

「ス…スゲー激眉…オレってばあんなの初めて見た…」

「コッ、コラーッ!!君達ガイ先生をバカにするなー!!」






ナルト達の呟きを耳聡く拾ったリーが三人に噛みつかんばかりに反論する。






「ウッセーってばよ!!
変なのばっか出てくっからリアクションに困ってんだよ!!」

「なにお〜〜!」

「まぁ、初見ならキャラきついかもね…」

「カノト先生知ってるんですか…」

「あんなのでも同僚なのよ…」

「「えぇっ!?」」

「……」

「リー!」

「あ!オッス…」






サクラの小さな問いに苦笑いしながら返答するとまたもや驚く三人の向かいでガイがリーを手招きする。
カノトはガイが素早く拳を握るのを見逃さなかった。







「バカヤロー!!」






ドカッ!!!!






「ふぐっ!!」

「!!」

「え!!?」

「……」







ガイなりの愛情籠った拳がリーの頬にクリーンヒットし、何の構えも取っていなかったリーは体を空中で半回転させて地面に転がった。
カノトは何度か見たことがあるものの"あちゃ〜…"と軽い頭痛を覚えて米神を抑えた。


お互いに涙を流すガイとリーの何もかもが驚きのナルト達だが、一番冷静であるサスケも恐らく頭を抱えたくなっているだろう。







「お前って奴ぁ…
お前って奴ぁ…」

「せっ…先生…!!
先生…僕は…僕は…」

「もういいリー!何も言うな!!」

「先生!!」

「!?」

「うわああ……」

「(あんな奴にオレは…)」

「…あー、あれ。わりと日常だから。ガイとリーだけの」






男泣きしながらガシッと抱擁し合う師弟に隣の三人がそれぞれ同じ反応(特にサスケはいろんな意味で屈辱だろう)する中、カノトが小さくため息を溢す。







「他の二人はあんなに強烈じゃないんだけどね…
悪い奴らじゃないから嫌いにはならないであげて、暑苦しいだけだから…。」

「そう…これこそ青春だ!!」

「先生!!」

「な…何かあーゆーノリいいなぁ…」

「どこが?」

「バ…バカ!!
危険よ!!アブなすぎるわよ!!」

「アンタ、逆に聞くけどカカシがあんなに暑苦しい性格だったらどう思う…?」

「「「…………」」」







ナルトがガイとリーのやりとりのどこを気に入ったのかカノトとサクラとサスケには理解できなかったが、カカシで例え話をするとナルトが固まってしまった。






「いいんだ、リー!若さに間違いってのはつきものなんだ…」

「優しすぎます…先生っ!!」

「だが喧嘩をしたあげく禁を破ろうとした罰はーーーー建前上中忍試験後にでも受けてもらうぞv」

「ハイッ!!」

「演習場の周り500周だ!!」

「押忍!!」

「…………」

「バカね…」

「あのさ!あのさ!ところでさ、あの亀は何なのかな?」


「あれは忍亀。カカシの忍犬とか、あたしの忍狼達と一緒。
アンタもそのうち契約するだろうから今は気にしないでいいの」








ポン、とナルトの頭に手を置いて答えるとふと視線を感じたカノトは首を巡らせた。
気付けばガイと目が合うがやがて彼はカノトの隣の三人を視線を移す。






「あ!」

「イヤ〜こっち見てる」

「それよりカカシ先生は元気かい?君達!」

「カカシを知ってんのか…?」

「知ってるも何も…クク…」

「?」

「(何格好つけてんの…)」






呆れるカノトを他所にサスケの視界から消えたガイが一瞬にしてナルト達三人の後ろに移動する。






「っ!?(ーーえ!?)」

「人は僕らのことを『永遠のライバル』と呼ぶよ…」

「「「!!!」」」

「いや、アンタだけでしょ…」






三人が驚いて後ろを振り返る。






「(こいつ…)」

「いつの間に…!!」

「50勝49敗。

カカシより強いよ、オレは…」

「いつの間にそんなに勝負してたのよ…?」

「お?!聞きたいかカノトよ!!」

「いやいい。何となく予想つくし…」

「む…そうか、残念だ!」

「(残念って顔じゃない…)」

「どうです!!ガイ先生はスゴイでしょう!!」






キラリと歯を輝かせて自分の自慢を始めそうになったガイの言葉を一刀両断するかのようにカノトが即答する。



サスケは悔しそうに奥歯を噛み締めて俯いた。






「今回はリーが迷惑をかけたがオレの顔に免じて許してくれ。

この爽やかフェイスに免じてな…」

「アンタの顔に免罪符の価値はないんじゃないかな……」

「?カノト、何か言ったか?
声が小さいと聞こえんぞ!」

「何でもないわよ、気のせいでしょ」

「そうか!なら良い!」





ハッハ、と軽快に笑ったガイは一つ頷くとナルト達を見下ろした。






「リーも君達もそろそろ教室に行った方がいいな」

「!!!」







シュッ!




ガイがそう言いながら素早く何かを投げる。
咄嗟にナルト達が構えたが、ガイが放った物ーーー苦無は先程カノトがリーを止める為に投げ壁に刺さっていた苦無を弾き二つの苦無が地面に転がった。


苦無に縫い留められていた包帯がはらりと落ち、リーは何事も無かったように包帯をくるくると腕に巻き直していく。







「!!(あいつ…)」






ハッ、とナルトはリーの傷だらけの手を見て息を飲んだ。










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