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ジリリ…バンッ



「うーん…って…遅刻する!!」




事の始まりは朝寝坊からだった。







「行ってきますっ!!」


鞄を肩にかけ紅月はきつね色に焼けたパンをくわえて家を飛び出した。




「あの電車に乗らないと確実に遅刻する…きゃっ!」

「ぅおっ!」





ドンッ




走るスピードを上げ角を曲がると長身の人と思い切りぶつかった。
ぶつかった反動で紅月は尻餅をついた。




「いたた…
ご、ごめんなさいっ!!
大丈夫ですか?!」

「いや、大丈夫だ。
次は気をつけろよ?」

「はいっ!
すいませんでした!!」




ケガをしているのか右目に包帯を巻かれているものの、その凛々しい顔立ちに一瞬見とれそうになりかけたが、すぐ立ち上がって謝りながら頭を下げ再び「遅刻ー!!」と叫びながら紅月は去って行った。




「…powerfulなgirlだな…ん?
あ、おい!!」




そこに落ちていた定期を拾い、急いで振り返って呼び止めようとしたが時既に遅し。
紅月はもう居らず、どの道に行ったのかも分からなくなった。




「…チッ。」




彼は舌打ちするとケータイを開いてある番号を見つけて通話ボタンを押した。






「え…定期も財布もない…
定期は確認した筈なのに…」




こんな時に限って財布を忘れてきた紅月は頭を抱えたくなった。
その時。




「よォ、」

「はぃぃっ!!」



いきなり後ろからゴツい声で呼ばれ肩を叩かれて、紅月は文字通り飛び上がった。
恐る恐る振り返ると、ゴツい声に見合ったオールバックの如何にも極めた道を通っていそうな男が見下ろしていた。




「女、さっきこれくらいのおt「きゃぁぁぁあっ!!!」あ゛?」



凄むその男に思わず叫ぶと紅月はその場からダッシュして逃げ出した。




「何なんだ…」



呆れたその男はピリリリ…と鳴るケータイの通話ボタンを押した。



「はい。
あ、はい。しかしそれが…」




──────────
─────────
────────





寝坊するし人にぶつかっちゃったし定期無くすし財布忘れるし怖い人に声かけられるし…



厄日だ、と思いながら紅月は涙目で走った。



「はぁ…はぁ…」



紅月は体力が保たず、立ち止まって呼吸を整える事にした。




「Hey,girl」

「ひぅっ!?」



驚きながら今度は外人かと思って零れんばかりの涙を拭いながら紅月は振り返った。
が、紅月の予想は外れ、何処かで見覚えのある右目に包帯を巻いた凛々しい顔立ちの男が立っていた。




その男は驚いたように唖然と紅月の表情を見た。




「…どうした?」

「あっ、なな何でも無いです!!
わ…私に何か用でしょうか?!」

「…?
いや、用と言うか…ほれ。」



その隻眼の男はポケットからの定期を取り出して紅月に渡した。



「これ…何処で…!?」

「…さっきぶつかったの覚えて無ェのか?」

「ぶつか…?
あぁっ思い出した!!貴方さっきの…」

「あぁ。
そん時に定期が落ちてたからアンタのじゃねーかってな」




ぶつかった事を忘れていた紅月は苦笑しながら返答した。






「度々有り難う御座います!!」

「気にすんな。
さっき部下達にアンタを探させてたんだが、アンタがこの方面に走って行ったって聞いてな。
また会いたかったし、この辺り探してたんだよ」

「……会いたかった、と言いますと?」




隻眼の男が言った言葉に紅月は首を傾げる。
それがおかしかったのか、ふっ、と笑った男は真っ直ぐに紅月を見た。




「My name is Masamune Date.
What your name?」

「…あ、ぇと…紅月、…です」




政宗と名乗る隻眼の男の英語の質問に日本語で紅月は答えた。




「可愛い名前だな。」

「なっ…
く、口説いてるんですかっ…!?」

「だとしたら?」

「へ…?」



紅月は冗談で聞いたつもりだったが、ニヤリと妖艶に笑って言った政宗に目が逸らせなくなる。
じりじりと迫ってきた政宗からちょっとずつ距離を離そうとしていた紅月の背に民家の塀が当たった。
そのまま政宗は逃がさないように両手を赤面している紅月の頭の両サイドに置いて逃げ道を塞いだ。



「…俺的に口説いてるんだぜ?」

「じ、自分で言わないで下さい!!」





互いの顔が近いので羞恥からなのか、トマトに負けないくらい真っ赤な顔で紅月はツッコんだ。




「ンな可愛い顔で言われても怖く無いぜ?」

「可愛くないですっ!!」




しゃがんで抜け出そうかと考えた紅月の企みも虚しく、政宗が逃げられないよう片手を使って紅月の顎を持ち上げてギリギリまで顔を近付けた。




「っ……」

「…ぶっちゃけ言うと一目惚れって奴だな。
何か悔しいから、絶対俺の女にするってさっき決めたんだよ」



突然の告白に紅月の羞恥は頂点に達したのかボンッと頭から煙が出た。



「な…ななななな…!?」

「…その反応、期待しても良いよな?」

「し、知らないです!!
勝手にして下さいっ」



ニヤッと笑った政宗の言葉に若干怒鳴りがちに返答した紅月は半ば投げやりだった。
そのせいか、本日学校はサボる事を決めた。




「っていうかそろそろ退い…んっ!」




早くこの距離を離したいと思った紅月が口を開いた瞬間暖かいもので唇を塞がれた。
瞠目すると視界いっぱいに広がる政宗の顔。
政宗の唇が離れると赤面した紅月は鯉のように口をパクパクさせた。





「あ、ぁぁあああ…っ!!」

「勝手にさせてもらったぜ。」



紅月の反応を面白そうに見ながら政宗は言葉になっていない質問に答えた。






「ファースト…だったのに…!」

「今から俺の女になるんだから良いじゃねぇか。」

「なるなんて言ってないのに…!!」




言った後で紅月はハッとした。





──勝手にして下さい!!




そうかそうか。
あの発言が行けなかったのか。


冷静に考えた紅月は小さく息をついて、少し赤い表情で政宗を軽く睨んだ。




「…私のファーストキス奪った以上、責任取って下さい…」

「!!
…OK,全部俺が責任取ってやる。」



ふいっ、と後ろを向いて言った政宗の顔は少し赤みを差していた。









出逢ったきっかけ。


落とし物


((落とさなかったらもう逢えなかったかもしれない))



(もうちょい反抗するかと思えば自分で"責任取れ"なんて言うとはな…)
(私も一目惚れだったなんて絶対言ってやんないんだから…)








ーーーーーーーーーーーー
懺悔室。

ごめんなさいっっっ(泣)
(スライディング土下座←)
作り上げたのに何故か削除してしまった挙げ句、新しく考えたけどうp遅くなった上に滅茶苦茶駄文とか…;;;


書いてて分からなくなった俺涙目で御座います;;←←←
しかも最初切甘になってたんで無理矢理でしたが書き直しました;;;


前作はもうちょいマシだった気もします…本当にごめんなさい;;;;;
リアル土下座したい…;;←





申し訳ないです…;;;
何かあればまた書き直すので言って下さいね…;;;


リクエスト有り難う御座います!!






2010.03.24.

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2020.08.21.移動

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