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「リヴァイさん誕生日おめで「うぜぇ」ざいますー!!」

「「「「(兵長の一言をスルーした…)」」」」








バァンッ、と食堂の扉を破壊せんばかりに開けた紙袋を抱えた紅月が開口一番そう叫んだ。




言葉を向けられた本人は視線を移す事無く食後の紅茶に勤しんでいる。








「紅月、あのチビの何処が良いの…?」

「全部!」

「紅月、兵長と調査兵団に入る前からの付き合いだっけ」

「そっ、地下街で兄さんとあたしよりちょっと年下の子と一緒にゴロツキしてたの」








食堂の隅でわらわらと集まり出す104期の後輩達に(呼び捨てで呼ばせているのは本人の希望からだ)笑いかけながら紅月が答える。








「あ、そうだ皆メリクリー
紅月サンタから104期諸君にプレゼントだよー」







紅月が持っていた紙袋をテーブルにひっくり返すと小さい袋に小分けされたクッキーが広がる。








「わぁ、これ紅月が作ったの?」

「うんめっちゃ徹夜した。あたしの寝不足の結晶を噛み締めて食べてね」

「食いづら…」

「食べていいですか!?」

「サシャ3人分多いよ、1人1つだよ」

「3人が消えれば貰って良いですよね?」

「「「オイィィ!!」」」








食べ物に関してサラッと毒づくサシャにコニー、ジャン、ライナーが声をあげた。



どうやら他は確保しているらしい。
(クリスタの分はユミルが確保していた)









「美味い!」

「可愛い…」

「紅月、お菓子作るの上手なんだね」

「案外好きなんだよねー、口にあったようで何より」

「これ馬か?わざとか?テメェ」

「気のせいだよジャーン」










三者三様のコメントを貰い(サシャは美味いと泣きながらコニーのクッキーを奪い取ろうとしていた)紅月が擽ったそうに笑う。







「あたしは寝不足の結晶をプレゼントしたから男子諸君お返し期待してるね。」

「え、」

「マジかよ」

「女子は幸せそうな笑顔貰ったからよし!」

「「「贔屓!!」」」

「じゃ、あたし団長とハンジのとこ配りに行ってくる!!」

「まだ作ってあるんですか!?」

「サシャのはもう無いよー」








ダダダダッと台風のように走り去って行った紅月をポカンと見送っている104期生達に、カップを片付けたリヴァイは無視を決め込み食堂を後にした。







「リヴァイさん!」

「……今度は何だ」







夜、執務を終えて自室に戻ろうとしたリヴァイをどこからともなく現れた紅月が呼び止めた。







「ちゃんと誕生日プレゼント用意してるんです、来て下さい」

「いらねぇ」

「そう言わずに!今年は絶対喜ぶの用意したんですよ!!」

「去年と一昨年と4年前も同じ台詞を言ってクソメガネのしょーもねぇ実験道具を渡されたが?」

「今年は違いますって!」








ぐいぐいと半強制的にリヴァイは兵舎へと引っ張られていく。


やがて1つの部屋の前で止まった紅月はリヴァイに振り返った。









「さっ、目ぇ閉じて下さい!」

「断る」

「ホントに今年は喜ぶ物ですから!!驚かせたいあたしの気持ちを察して目閉じて下さい!!」

「…はぁ」








ファーランの妹につくづく頭が上がらないリヴァイは深い溜息をついて目を閉じた。



ガチャ、と扉が開く音がし、手を引かれるまま暖かい室内へ案内される。








「まだですよー」








目を開けようとしたリヴァイを察してか、釘を差した紅月の方から素早い衣擦れの音がした。








「はい!どーぞ!」

「…………」








す、と目を開けると自分と同等なレベルの殺風景な部屋に自分とファーラン、イザベルが写った写真が一枚飾られている。
どうやら紅月の部屋らしい。





部屋の中央のテーブルに趣向品である筈の紅茶の茶葉の缶が何種類も並べられていた。







「これは」

「2年貯めた貯金の殆ど叩いたんですよー


流石趣向品だけありますね」

「…お前のふざけた格好はなんだ」

「折角のクリスマスだからとハンジがくれました。サンタコスです。
帽子は部屋に置いてましたが服は団服の下から着てました。」








赤い帽子、袖の無い赤い服、膝上の赤いスカート。


ブーツだけは普段の物と同じだった。







「リヴァイさん紅茶好きですし、好きな物プレゼントしようと思って」

「昔から知ってただろうが」

「毎年リサーチしてもいらねぇってしか言わないじゃないですか、変わったのあげようと思ってたのに」

「(だからクソメガネの実験道具だったのか…)」








テーブルに近付き缶を手に取れば、どれも自分が良く使う銘柄の物ばかりだった。








「…だからか」

「え?」

「ここ2年、俺にやたら絡んできたのは銘柄を調べる為か」

「…やだなぁ、買い被り過ぎですよ」







下手な誤魔化し方で、にへ、と笑う紅月の頭をくしゃりと撫でる。








「お前の給料では高かっただろう」

「安月給は否定しませんが元々あまりお金使いませんからね、どれが良いか分からないから良く呑んでる茶葉ピックアップしました」

「調べてるじゃねぇか」

「あ、やべ」








あまり焦りのない顔で紅月は呟く。
言う程隠すつもりも無かったのだろう。








「貯金結構使ったんでクリスマスプレゼントは兼用って事で」

「昼間、ガキ達に食わしていたのは無えのか?」

「ハンジに全部食べられました」

「(削ぐ)」

「また作りますよ、ご要望とあれば」








紅月がクスクスとおかしそうに笑う。








「削ぐ、って思ったでしょう」

「………………」

「皆リヴァイさんを無愛想だと思ってるみたいですけど、意外と顔に出てるの気付かないんですよね」

「……出てねぇ」

「出てますよ、」

「なら、」








パシッと持ち前の素早さでリヴァイは紅月の右手を掴んだ。








「へ、」

「今俺が何を思っているか分かるな?」

「いやいやいやそんな都合良く分かんないですって」

「意外と顔に出ているんだろう」

「わざとポーカーフェイスしてるでしょう」

「してねぇよ。

当てたらテメェの願い事聞いてやるよ」

「嘘!」

「テメェに嘘ついた事ねぇだろうが」








やる気を出した紅月がリヴァイの顔をまじまじと見ながら暫くして首をひねる。








「…………あ!ハンジ削ぎに行きたいとか?」

「テメェはハンジを何だと思ってやがる」

「え?クソメガネですよね?」

「…テメェら本当に仲良いのか?」








けろっと友人を罵ればやがてリヴァイから溜息が零れた。








「俺は別にクソメガネを削ぎに行くのは思ってねえ。明日行く。」

「(あ、行くんだ…)

え、…リヴァイさん?」








右手を掴んだままジリジリと詰め寄るリヴァイに押されて、紅月が少しずつ後ろに下がる。








「う、ひゃ」








やがて何かに足を取られて背中から倒れるも、痛みもない事からどうやら足を引っ掛けたのはソファーだったらしい。







「えーと、リヴァイさん?」

「何だ」

「これはどういう状況デショウカ…」

「俺がお前に跨っている」








右手を離さない代わりに、倒れた紅月に合わせてリヴァイが跨っていた。







「…えーと?」

「当てられなかったからな」

「え、いやいやあたしが外したら何でリヴァイさんがあたしに跨るんですか」

「クリスマスプレゼントとやらを貰ってやるよ、毎年押し付けてきやがっただろうが」

「だから紅茶と兼用ですって、しかも毎年受け取らないじゃないですか」

「あれは誕生日なんだろ、」

「兼用だってば!」

「…やっと素が出たな」

「あ、やべっ」








苦虫を噛み潰したような渋い顔で紅月が内心舌打ちする。


そっと、壊れ物を扱うかのようにリヴァイは組み敷いた紅月の頬に触れた。








「…ファーランとイザベルが死んでからか、お前の話し方が変わったのは」

「そういう貴方こそ兄さん達が亡くなってからじゃない、あたしと距離置くようになったの」

「置いてねぇ」

「置いてた」

「置いてねぇ」

「置いてた」








暫く押し問答を続けて、折れたのはリヴァイの方だった。








「…地下街を出る時、ファーランに『紅月を頼んだ』と言われた」

「えっ?」

「その後俺は選択を間違え、あいつらを死なせた。」

「…でも、悔やんでも兄さん達は戻らないわ」

「そうだ。」

「……まさか、それであたしを離したの?」

「……それが、あの時の最善の選択だと思ったからな」








ファーランとイザベルを死なせた。



この先ファーランに託された紅月を守ってやれるのか。









頬を撫でていたリヴァイの手がぴたりと止まる。



図星か、と紅月は小さく笑った。








「…馬鹿だなぁ、リヴァイは」

「テメェ良い度胸してんじゃねぇか」

「あたしはリヴァイのせいでファーラン達が死んだって微塵も思った事無いし、あたしは自分で自分を守る。

ファーラン達の十字架を背負ってしまっているのに、あたしの命まで背負わないで。


何だかんだ、6年も調査兵団で生きてるんだよ」

「紅月…」

「人類最強の兵長は背負う物が沢山あるのは知ってる。

もう、昔みたいに後ろに隠して守らなくていい。あたしは前に出られる。」








にへ、と表情を崩した紅月にリヴァイはふっと笑った。





いつまでも弱いと思っていたコイツはいつの間にこんなに強くなっていたのか、と。








「なら、俺の隣に立つか?」

「リヴァイ?」

「ーーーーいや、俺の傍にいろ。」








どこか吹っ切れたような表情で、リヴァイは紅月の唇に噛み付いた。








明かされた真実

(り、リヴァイ?)
(何だ)
(い、今のはどういう)
(昔から、俺の事好きだったんだろ)
(ななな何でそれを!?)
(8年待ったんだ、いい加減気付け)
(へ?8年!?)
((コイツは貰うぞ、ファーラン))







ーーーー懺悔室ーーーー


慌てて書き出して仕上げたんで
全然話がまとまってない( ノД`;)

何が言いたかったって
実はゴロツキ時代からの
両片想いだったって事と
無理矢理誕生日祝いたかった。


いやもう本当ネタ纏まらないまま
思いつきで書いたのを後悔…選択を間違えたのは私だ…←



まぁ、何はともあれ




Merry X’mas & Happy Birthday

Levi!!





祝えて良かった!
産まれてきてくれてありがとう!!
大好きだ、愛してるぜー!!




2019.12.25.月猫
2020.08.19.移動

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