にこにこ、きらきら。
彼はまるで光輝く太陽のように笑う。
「日向くん、おはよう」
「あっ、みょうじさん!おはよ!」
暖かなイメージを持たせるその綺麗なオレンジの髪も、爛々とする大きなアーモンド型の目も。彼が笑うと、全てが引き立って見えた。
周りにいる男子より若干小さいが、それでも骨格はしっかりしているし、筋肉もある。引き締まった体は、私と異性であるということを十分に表していた。
入学してから二ヶ月。真新しかった制服もだんだん服に馴染んできた。現に日向くんの学ランは入学当初と違い、少しよれている。
「みょうじさん、数学の課題ってやった?」
眉を下げ、小声で尋ねられる。
これは見せて欲しいという意なのだろうな、と直感的に把握する。
部活も一生懸命頑張っていて、誰にでも優しく笑顔の多い日向くん。授業中は居眠りしがちで怒られてしまうけど、クラスのみんなからも人気が高い日向くん。
もちろん私もその中の一人だ。彼の笑った表情は魅力的だ。なんだかこちらも頬が緩んでしまう。
「やってきたよ。はい」
「本当にありがとう!毎回ごめん!」
申し訳ないように笑みを浮かべ、日向くんはノートを受け取った。ノートが引かれ、間接的にだけど一瞬だけ繋がるこの感覚は、いつも何だかこそばゆい。
きっと日向くんのことだから、また昼休みにジュースを買ってきてくれるのだろう。私はせっせとペンを走らせる彼の角張った指を見つめながら、そんなことをぼんやりと考えた。
生温いこの気持ちに浸る
(隣の君はきっと知らない)