モブ恋
私、楢川ユラ。
なんか知らない内に一度しんだっぽい。
気がついたときには、新しい両親がいて、新しい生活が始まっていた。
前世の記憶があるということ以外は至って普通。
なのに何故か親戚の計らいとやらで、この辺りでは有名なブルジョア高校に通うことになった。
そして、驚きの事実を知る。
ココが、かつて私がどん嵌まりしていた乙ゲー…VitaminXの世界だと云うことを。
『モブだって恋したい!』
B6と呼ばれるイケメンなのに残念な集団が存在するこの学校は、聖帝学園。
私は二年間そこに通った。
ぶっちゃけ真面目に生活してたからB6とは一切関与していない。
教師陣のT6とは何度か会話したけど、向こうからしたら地味な一生徒、だろう。
残りの一年間も、そのスタンスを変えるつもりはなかった。
確かに、あの日までは。
三年生になる、新学期の日。
貼り出されたクラス割りを見て、私は愕然とした。
「な、……なんで、私が……Eクラス、なの……?」
Eクラス。
通称「classX」
そこは、彼らの支配下。
私にとって、踏み入れてはいけないはずの、場所だった。
(12/8/4)
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