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第十四話「暗闇」




確かにね。
知ってはいたけど。

画面越しにみるのと実際に自分がその場にいて味わうんじゃ何もかもが違ってる。





消灯時間を過ぎても騒いでいた私たちがいるこの部屋に、巡回中の甘粕君がノックをしたのがつい先ほどの話。
鶴の一声ならぬ教官の「とりあえず皆隠れて!」の一言で、I'sのメンバーが各々隠れたのも覚えてる。

じゃぁ私はどうしようと混乱して辺りを見渡してたら突然ベッドの方へ引っ張り込まれ、気がつけば布団を被せられていたんだ。





「…………」

「……、苦しくない、か?」

「……え、ぁ、うん…」



耳元を掠める低い声に、背筋にゾクリと、何かが這うような感覚が走る。

思わず身動ぎしてしまい、結果的に更にヨウスケに密着することになってしまった。



「……………………あつい、な……」

「え………?」

「………ユラが、触れてるとこ、………熱い…」

「………ぇ、え…?」



小さく小さく囁かれた言葉は、この近距離にいる私に十分聞き取れたのだけど。

視線を動かせば、蒼い瞳が、此方を見つめていた。



「……、ユラは……」

「…………」





「もう出てきても構わないぞ」





「「!!!」」



何かヨウスケが言いかけたとき。
上からタクトの落ち着いた声が降ってきて、二人して慌てて布団から飛び出す。



空調の効いた部屋が、火照った顔にちょうどよく感じられた。










(12/7/12)


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