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第十三話「温度」




「と、言うわけで。ユラちゃんも協力してくれるコトになったから皆で学園祭の出し物考えよう!」

「……え、と。明日までに」



場所、タクトの部屋。

時、学園祭前日。



安定の間に合わない感満載の話し合いだ。



皆は明日のゲリラライブの事で頭がいっぱいみたいだし、私は私で、来たるグランバッハの一件に対する不安が頭の大部分を占めていた。

有事の際、一般客の避難や誘導の案については甘粕君に相談して、なるべく怪我人が出ないよう出来る限りのことはしたんだけど。

きっと被害は免れないんだろう。

考えてもどうしようもないことは分かっているけれど、考えずにはいられない。



「……ユラ、大丈夫か?何か顔色が悪い気がする」

「あ、うん。大丈夫だよ……ありがと、ヨウスケ」



隣に座ってたヨウスケに心配そうな顔をされて、私は慌てて気を引き締めた。





まぁ、その後も不毛な話し合いは続いたのだけれど。







他のコトに気を取られていた上に、タクトルートだと安心しきっていた私には、現状が把握出来ずにいた。





「……あ、…の……っ」

「…………………悪い、いまは、ちょっと……話しかけないでくれ……」





なんで。

ヨウスケとこんなに密着してるんだろ。

しかもタクトのベッドで。



布越しに、タクトと甘粕君の声が聴こえるような気がする。



でも、今はただ、抱き寄せられたヨウスケの吐息だけが、私の聴覚を支配していた。










(12/7/12)


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