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第十一話「交錯」
大切なものは同じなのに、簡単にすれ違う。
青の世界のやつらってホントめんどくさいよねー。
そういって、いつかレスポールが笑ってた。
確かに、その通りだと思う。
「あ、お疲れさま!今回の緑汁シリーズCMも面白かったよ」
「ああ、ユラか。……確かに……今回はより一層シュールさを増して面白かったと……俺も思う」
「ヨウスケ、お前ビックリするくらい棒読みだぞ。……つーかそもそもアレは面白さを追求するCMなのか?!そうなのか?!」
スタジオから出てきたヨウスケに声を掛けたら、後方からユウジに突っ込まれてしまった。
苦笑しつつ、ふと人数が少ないことに気づく。
「……あれ、タクト……?」
「タクトなら向こうで教官と話してるよ」
「……ぁ…そ、か」
独り言くらいの声量だったけど、ヒロが答えてくれた。
何故か胸に靄のようなものを感じて首を傾げていたら、不意に肩に重みがかかる。
「ユラってさぁ、よくタクトのこと気にしてっけど、もしかして……好きなん?」
「はっ?」
耳元でそっと問われた内容に、驚いて振り返れば。
すぐ横にあるヒジリ君の瞳が可笑しそうに此方を覗いていた。
「ヒジリ君……!」
「何を、しているんだ…君達は……?」
「へ?」
肩を抱くようにしていた彼に文句の一つでも言ってやろうと口を開けば、低めの声に遮られる。
いや、いつもより低めの声、が正しい。
アキラさんと並んで現れたタクトが、すごい形相で此方を見据えていた。
怒っているように見えるのは、気のせいだろうか。
「なに、って……なに?」
「チッ、俺に聞くな……」
たまたま隣にいたヨウスケに尋ねたら微妙な顔をされてしまう。
「とりあえずヒジリ、ユラから離れろ」
いつものように淡々とヨウスケが告げた。
ヒジリ君も「はいはい、すみませんね」と笑う。
皆も、呆れたような表情を浮かべて。
そんな、いつも通りの光景。
ただ、タクトと私だけが、何か違和感のようなものに苛まれていただけ。
互いに、気づくこともなく。
(12/7/9)
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