硝子越しの仮面




「おはよう!フロイライン!!」

「……おはようレミィ…とりあえず服を着てこようか、服を」



素敵な笑顔で駆け寄ってくるピンク頭を押し返して、私は思いっきり目を反らす。

前回のミッションで断髪してから随分と男らしくなったレミィだけど、マナーの改造は済んでないからまぁ中身は未だ残念なままだ。



(…毎朝メイドさんに着替えさせてもらってるとか…ホントないわ)



今朝着る予定の服を押しつけるように渡せば、メイド長のモモさんから睨まれる。


いや、アンタらが甘やかすからいつまでもレミィがこんなダメンのままなんだからね?


頭を抱えたくなるのを我慢してターゲットである彼に意識を戻したら、不満気に頬を膨らませてこちらを見ていた。



「…ユラ、私のことが嫌いになったのかい?」

「…そんな顔してもダメ。貴方は一人で出来る人なんだから、ね?」



ステルス改造が最重要項だとは思うけど、長期ミッションにおいては“日々の言い聞かせ”が私のモットーだから。

彼は他人からの提供が当然の環境で生きてきた人。
それを直すのってやっぱり難しい事だ。



「自分の事を黙って自分でこなす人って、私は素敵だと思うわ」

「君がそう言うのなら…!」

(……単純)



たった一言で態度が急変するレミィに思わず笑いを溢せば、すごく華やかな笑顔が返ってきた。



「ユラが笑ってくれるなら、どんなことでも出来る気がするよ」

「……!」



「……、愛しい僕だけのマシェリ」





チュ、と優しいリップ音が一つ。

親愛の口付けが深愛の口付けに変わるのは、そう遠くない未来の話。










(12/6/5)


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