Fancy sick!!



「……ユラの顔を見ていると、具合が悪くなる」

「うん、タクト。そのままくだばってくんないかな?」

「……!」



真剣な表情で言われたから超笑顔で返してやった。

失礼にも程があるだろ。



食堂でソーキそば食べてたら、不意にタクトがやってきて私の前の席に座った。

しばらく無言でこっちに視線を寄越しつつ紅茶を飲んでたと思ったら、突然人の顔見て具合悪くなる宣言だ。



「だいたいそっちから正面に座っておいてその発言ってなくない?私に否ないよね」

「いや、その……見ていたら具合が悪くなるんだが、姿が見えないと落ち着かない」

「なんだそのワガママボーイ発言」



呆れてため息をつけば、本気で悩んでますちっくに顎に手を添えて考え込むタクト。

いや困ってるのこっちだから。

まぁ確かに、いつも理論的に物事を捉えて発言する彼にしては、珍しくあやふやな内容だけど。



「……具体的に、不快感を覚えるのは私の顔を見たときだけなの?」



真面目に尋ねてみれば、何故か驚いた表情をされる。



「いや、……別に、不快な感情を抱くとは言ってない」

「は?でも具合悪くなるんでしょ?」

「ああ……こう、心臓の辺りが締め付けられるような感じになるんだ。息苦しさも覚える」

「まじか。それ病気じゃない?」



心臓の疾患じゃないのそれ。

私が顔をしかめると、タクトはつられるように表情を変える。
だけどそれは確かに不快感に満ちたものではなく。
むしろ。



「……だが高揚感のようなものも感じるんだ」

「それって気持ちが昂るってこと?……え、ほんとに大丈夫?」

「やはり一度、しっかり診てもらった方がいいのだろうか……」

「そうしなよー。もし何だったら私も一緒に医務室ついてくし」



とりあえず私の顔を見ても変にならないよう、相談してみよう。








「あんだけ具体的な症状まで言ってンのに、何で気づかないのかねー」

「言ってやるなよヒジリ。ユラもタクトも究極にそっちの話題には鈍いんだから」

「……ダメダメだね」



ユウジ達が別の席でそんな話をしてたなんて、私は知るよしもない。










――――――――――
タクトの可愛さパねぇわ。
(12/5/21)

[ 104/189 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -