近距離射撃





「……きれー……」

「え?」



振り返ったヨウスケはキョトンとしていたけど、視線を反らせなかった。

精悍な顔を流れる汗が妙に色っぽい。



「ユラ。ヨウスケを見る目つきが卑猥だぞ」

「……タクト、それはいくらなんでも言い過ぎだろ。確かにすごい見られてるけど」



最初はただ、バンド練習をしてるI'sの皆を眺めてるだけだった。

途中から熱気に当てられて、色気を漂わせ始めたヨウスケに夢中になってしまっている自分がいて。

たぶん本人、無意識だろうけどね。



「……てかタクトにだけは卑猥とか言われたくないわこのストーカー」

「……なっ、何故僕がストーカー呼ばわりされなければいけないのか理解できない!」

「うわー自覚ないんだうわー」

「……っいちいち失礼だな君は……!」



タクトとはこんなナチュラルに話せるんだけどな。



「ユラ」

「……!」



少し低めの、でも耳によく馴染む声で名前を呼ばれたら、言葉が上手く紡げなくなるんだ。

コバルトブルーの涼やかな瞳と、無言で見つめ合う。

視線で言いたいことが伝わればいいのに。


「……、汗、拭けば」

「ぇ……」



スッと、思いもよらず距離が近づいて。
私は動けないまま彼の動作を見守る他なかった。

伸ばされた手が、首筋を撫でる。



ゾク、と背中に妙な感覚が走った。



「……ヨ、ウスケ……」

「……っ。チッ、ユラ」

「え、え、……っ?」



完全に固まってる私の視界を、黒が覆った。

汗の香が鼻を掠める。

そこに混じる、ヨウスケの匂い。



聴覚を刺激する、声。





「……あまり皆のいるトコロでそんなに見ないでくれ……我慢できなくなるから、色々」

「……!」





タオル越しに囁かれた言葉に、顔が熱くなる。



離れていく体温を逃したくないと思ったのは、私のなかだけの秘密。










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OCDのライブでたつ兄の鎖骨首筋がエロすぎた件
(12/5/7)


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