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第八話「熱気」



改めて私が皆の為に行動しようと決めてからしばらく。

私達は、ショウナンの海へ来ていた。





「………」

「……えっと…あんまり怒らないで、タクト」

「僕は全く怒ってなどいないさ、あぁそうだとも、怒る理由がない!」

「……」



不機嫌丸出しのタクトは、色白の綺麗な肌を惜し気もなく青空の下に晒している。



眩しい。



ショウナンといえば、この水着撮影云々で皆が糠喜びしてしまうシナリオがあった場所だ。
確か、ナイトフライオノートを倒した後にライブは実現できるはずだけど……。



「……きっと、近い内にライブ、できると思うから」

「ユラ、確証もない憶測でものを言うのはやめた方がいい」

「……っ適当に言った訳じゃないよ……!」



冷めた視線を向けられ、思わず強めに言い返してしまう。
その勢いで顔を背けたから、タクトの表情は知れない。

皆はもうとっくに切り替えてショウナンの海を満喫してるのに、タクトがいつまでも不貞腐れてるから……。

心の中で深々とため息をついていたら、後方から僅かに此方を窺う気配がする。



「……っま、まぁ、せっかくのショウナンの海だ。何もせずに帰るのも勿体無いな……」

「タクト達は撮影したでしょ」

「そういう問題じゃなく……!」

「いいよ。私、ヨウスケのとこに……」

「まっ、待て……!!」



目も合わせずにいたら、突然後ろから腕を引かれて。
予想外に厚い胸板にダイブしてしまう形になってしまった。



「……、タクト…?」

「……今は、僕の傍にいてくれないか」

「……っ」





後ろに感じる体温が、熱くて。



私は身動きできずに、ただ、彼の熱を感じていた。










(12/5/1)


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