06
第六話「誘発」
ヨウスケに手を引かれるのも、思えば久しぶりかもしれない。
私より一回りおっきくて、少しだけ荒れた手。
優しくて力強いそれは、いつだって迷いなく私を導いてくれる。
「……!ユラ……」
「……え」
不意に名前を呼ばれて、視線を上げれば。
此方に早足で向かう細身の姿が目に入った。
「…ユラっ、聞きたいコトが」
「タクト。ユラが俺たちを避ける理由ならもう聞いたぞ」
「なっ、何だって?」
目の前までやって来たタクトが何か言う前に、遮るヨウスケ。
そんなバッサリ切らなくても……。
というか。
「……。タクトも、私が、避けてるって思ってたんだ」
「は、いや、僕は……!」
私、そんな分かりやすかったのか。
地味にショックを受けてたら、タクトは少し苛ついたように金髪を掻き上げた。
サラリと元の形に戻っていくそれを見つめていたら、真っ直ぐに此方を見据えた彼と視線が絡む。
「……ユラが、僕達と距離を置くことには、賛成だ」
「……ぇ…」
一瞬、言われた意味がわからなくて。
ただただ見つめ返すばかりの私に、最終宣告を下すように。
「ユラは、ライダー候補達と関わらない方がいいと言ったんだ」
タクトは静かに、そう告げたのだった。
(12/4/11)
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