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第二話「二人」



「……!」

「あ!タクト、お疲れさまー」

「な、なっ……っ!」



訓練室からちょうど出てきたタクトに声を掛けたら、おっきい猫目を更に見開いて。
金魚みたいに口をパクパクし出した。

え。どうしたの。



「よ、よよ、ヨウスケ……?!」

「……?ん…あぁ、悪い」



手にあった温もりが消えて、そういえば今の今までヨウスケと手を繋いだままだったことを思い出す。



「あ、いや全然いいけど……」

「良いわけがないだろう……!ユラ……っキミは、もっと此処がどういう場所か理解した上で行動したらどうなんだ?」

「えぇ…?…結構してるつもりだけど……」



なぜか突然タクトが怒り出すから全力で戸惑う。
タクトはこうやっていきなり説教しだすとこを除けば大好きなんだけど……。



「じゃぁキミは、異性から手を繋いでほしいと言われたら誰とでも繋ぐのか?!」

「うん」

「はぁっ?」

「ハグと膝枕とほっぺチューまでなら少なくともLAGの子たちにならできるかな。勿論タクトたちも含めて」



にっこり笑えばタクトはたっぷり10秒は固まったあと、深い溜め息をついた。

幸せ逃げるぞ。

とりあえずヨウスケに助けを求めようと視線を送れば、珍しく可笑しそうに肩を震わせているし。



「なに?」

「いや……なんでもない」

「ああ……何でもない」



こういう時だけ意気投合して……!



本当に正反対なのに、仲が良い二人だと思う。



目を見合わせ笑う二人を、どうか亡くさないように。
私はこれから全力で努めなければならないんだ。










(12/1/23)



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