テイクアウト



TYBが始まって。

二日目の合同デートを終えてこうして私と会ってる伊織は、フツーにチャラ男だと思う。

オシャレでみんなに人気のチャラ男くん。

まぁ家族思いとか、硬派だとか言われてるけど。
こうして話してると。
まじで。



「チャラいわ……」

「あん?ユラ、なんか言った?」

「まじチャラいわオマエしかもうぜぇ」

「うーわ、そこまじ二回繰り返すかフツー!しかもなんかレベル上がってっし!!」



ジャンクフードを頬張りながら、目の前のイケメンが激しくつっこんでくる。

黙ってりゃイケメンなんだけど。

なんでこの子、喋り出すとこんなにチャラ男で挙句バカなんだろう。



「伊織はなんで黙らないの、なんでバカなの」

「ちょっ、それ真顔で言うことじゃなくね?」

「……もったいないわー、まじもったいない」



小四以上の漢字通じないとか。
どの時点で学業放棄したワケ。



「よくその頭でTYB出ようとか思ったよね」

「は?!やっべまじかよ!今の髪型オレ的には気に入ってんだけど!」

「……もうオマエしねよ」

「はぁぁぁっ?!!」



なんなんだろうなー。



「……つぅかさ、怒ってんの?」



鮮やかなコバルトブルーの瞳が此方を窺うように覗き込む。


綺麗な顔。

整った体躯。

優し気な声色。


ここまで揃ってたら何か欠けても仕方ないか。
頭とか。
いや、髪型のことじゃねぇから。
脳味噌的な話だから。



そのときの私はフツーにそう思ってた。



「怒ってねぇよ。伊織はそんくらいのが絡みやすくていいわ」

「ユラ……まじ男前な」

「今さら気づいたの」



笑って、バカな話ばっかして。



それで満足だったのにな。





伊織が渋谷の街から消えたのは、たった5日後の話。










――――――――――
伊織の真END…なにも解決してねぇ気がするのは私だけか。
(12/4/11)

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