それってつまりアレですか。
トーキョーの本部からリュウキュウに異動を命じられた。
リュウキュウLAGに着いて、黒髪の子に突然の歓迎を受け、金髪の子に突然の洗礼を受けた。
え。なにこの飴と鞭。
そして今日も顔を突き合わせれば、霧澤君には怒鳴られ、ヨウスケ君にはフォローされる。
「タクト……。あまりキツくあたるな。ユラはまだこっちに来たばかりなんだ、まだ右と左のシーサーも見分けられないくらいなんだ」
「僕は彼女をまだライダー候補生だとは認めないぞ。右と左のシーサーも見分けられないなんて……そんなのおかしい!」
「いやいやお前ら、ちょっと待て」
やんわりと止めに入るユウジさん。
流石メンバーの良心。
私が黙っているのが気にくわなかったのか、霧澤君がキッと此方を睨む。
元々切れ長の猫目なものだから迫力満載だ。
それにしても我が家の愛猫に似てるな。
「第一……女性がライダーになるなんて反対だ!足を引っ張るのは目に見えているからな……!」
たぶん、彼なりに心配してくれてるのだと思う。
本当に戦場に駆り出されたとき、実力がなければ無駄死にする可能性や、最悪仲間を道連れにする危険性だってあるのだから。
「……大丈夫だよ、霧澤君。絶対に仲間を殺させやしないし、実力は……実際訓練で見てもらえばいいし」
「……!」
ユウジさんの半分影になりつつも反論すれば、まさか言い返されるとは思わなかったのか目を見開いている霧澤君。
ほんとに猫のようだ。
驚いている彼を他所に、ヨウスケ君が珍しくドヤ顔をしている事に気づいた。
「…ユラの方が一枚上手だったな、タクト」
「ヨウスケ君……あんまり煽るような発言は……」
「……!!」
まさかの発言に戦いて霧澤君を盗み見る。
あれ?何かさっきより驚いている。
「……え?タクト、まさかおまえ……」
「ユウジさん?霧澤君がどうしたの……?」
「……!!!」
ユウジさんまで何かニヤニヤしてるものだから気持ち悪くて、霧澤君と交互に見れば、更に驚いた表情の彼。
え……?なに??
「なっ……な、な……!!」
「……霧澤、くん?」
「なぜ僕だけ苗字なんだ……?!!」
……え。
「タクト君……って呼んでいいの?」
「……!…か、構わない…」
よかった!
それってつまり。
「嫌われてはいないってコトだよねっ」
「「おしい……!」」
私の発言に、ヨウスケ君とユウジさんが綺麗にハモる。
え。違うの?
私はまだ気づかない。
それってつまり、
恋のハジマリ。
(12/1/22)
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