哀愁ちんすこう。



「くたばれ」

「「「……」」」


土下座してる三人のイケメンが私の一言で同時に頭を垂れた。

いい気味だ。

コレを期に恥を知れ。


「ユラさん……?な、なにしてるのさ……」

「ヒロ。いいトコロに……見なさい。あれがダメな十代後半代表よ」

「えぇぇ……?」


こんな風にならないようしっかり見ておきなさいな。
そう告げれば、心底嫌そうな顔をする毒舌プリティボーイ、ヒロ。
そのままさっさと立ち去っていく辺りが流石ね。


「……っユラ!やはり僕は納得いかないぞ!!」

「……止めておけタクト、口でユラに勝った奴を産まれてこの方、俺は見たことがない」

「んじゃ身体で勝負する?三対一とか超燃えるんですけど」



「とりあえず黙れ。とくにヒジリ」


異を唱えるタクトと、さらりと失礼な発言をするヨウスケに一瞥くれてから、最終的にヒジリを視線で殺す勢いで睨み付ける。


この動く18禁が。


本題から反れそうだったので一先ずさっきの発言は聞かなかったことにする。

ため息一つ。

しゃがみこんで、土下座中のタクトに視線を合わせる。


「私は、ライヴの宣伝をしてこいっつったはずだけど?」

「僕は真剣にライヴの宣伝活動をしていた!」

「タクトのアレは過激な宗教勧誘よ」

「……!!」


ちょ、なにショック受けてんの。
今まで自覚なかったの?
誰か教えてやれよ。

いやユウジしかムリだな。
ユウジが教官に呼ばれて不在の今、明らかに誰も諭す人間いないわ。


「俺も真剣にサイドメニューまで考えて宣伝してたぞ」

「ヨウスケのは最早ライヴの宣伝じゃねぇよ料理部の宣伝活動だよ」

「……ちっ」


舌打ちすんな。
ちょっとデザートには惹かれたけどね。


「ちなみに、ユラ用にデザートの試食を用意してある」

「ありがとうヨウスケだいすき。立っていいよ」

「なっ……ひ、卑怯だぞヨウスケ!賄賂を用いてユラの好感度を上げようなんて……!」

「フッ、……作戦勝ちだな」


お前ら……全部聞こえてるから。
ダダ漏れだから。


「オレは至ってマジメに戦力になってたっしょ。ちゃんとチケット捌いてきたし」

「やり方が卑猥なんだよヒジリは。女の子ばっかじゃんよアンタの客は」

「いーじゃん客席が華やかな方が?コイツらのモチベーションも上がっちゃうんじゃね?」


……。
クソ、正論みたいに言いやがって。
否定できないじゃん。


「いや、俺はユラが聴いてくれればそれだけでモチベーションが上がるぞ」



「「「……は?」」」


唐突に宣言したのは、相変わらず気の抜ける俺の潮Tシャツを着こなすヨウスケで。

全員の視線に惑うこともなく、鮮やかなブルーの瞳は真っ直ぐに私を見ていた。


「……え、なにいきなり……」

「ちょっと待てヨウスケ!それを言うなら僕だってユラの顔を見るだけでモチベーションが上がる!」

「……えぇ?」


何を言い出してんのタクトまで。
今更持ち上げても遅……。


「はーいオマエラそこまで。オレとかユラの声聴くだけでテンション上がるっての」

「はぁぁ……?」


まさかのヒジリまでこのよく解らない会話に参加しだす始末。


「ユラは居てくれるだけで俺の活力になる」


いやいやいや。


「べ、別にだからいつもユラを見ているとかそういう訳ではないからな!」


ちょっとちょっと。


「オレに身を委ねてくれりゃ、もっと良い声出させてやんよ?」





なんなのこの羞恥プレイ……!!





「「「それで」」」



「はっ?」



「「「ユラは誰がいちばんいいんだ?」」」








もうやだコイツら。
ユウジ……早く戻って来てください。










――――――――――
沖縄いきたい。
(11/11/05)

[ 139/189 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -