ブラックアウト


理解されない。
理解したくない。
理解しようとしない。


理解されることなんて
私は望まない。











「ユラ」


まるで引力みたいにその声に引き寄せられる。

振り返った先には予想通りの漆黒の瞳。


「神田、久しぶりね。私に会えなくて寂しかった?」


へらりと笑えば、すごい恐い顔で睨まれてしまった。

全く。
冗談通じないんだから。


「……お前が任務を毎回こなせてるのが不思議で仕方ねぇよ」

「こう見えて必殺仕事人だから」

「…………」


真顔で言われたから真顔で返したのにスルーですかコノヤロー。

一番つらいわ。

ていうか、2ヶ月ぶりに会った同僚に他に何か言うことないのか。


わざと表情に少しの不機嫌を滲ませてみたら、神田はすぐに感じ取ってくれたらしい。


「……チッ」


一瞬此方に視線を寄越してから歩き出す。
私は何も言わず、後に続いた。



向かった先は食堂。



いつからだろう。
任務後には必ず、神田の驕りで饂飩を食べるようになったのは。

彼は何者にも靡かないし、私も誰にも懐かずにいたから、最初はよく奇とした目で見られたものだ。


「ねぇ、神田」

「……なんだよ」


箸を持つ手を止めて此方を見やる彼は、相変わらず何処か儚い。

分かっているつもりでも、わかりたくないと拒む私の我が儘な心。



彼はいつか、“あの人”を追って逝ってしまうのだろう。



「……神田」

「……、だから何だって聞いてんだろ」



その黒い瞳に包まれて、このまま消えてしまえたらいいのに。



「一秒でもいいの。私より永く、生きていてね」



私の世界を覆うのは、貴方の色だけなのだから。



「……阿呆か。それは俺の台詞だ」



死ぬときは、幸福な黒に抱かれていたいの。

誰も理解してくれなくてもいい。
だけど、これだけは譲れない。



今を生きる私の願いだから。









――――――――――
神田ジャンスクにて再登場。まじLoveイケメン1000%です。
(11/10/09)

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