ナチュラブ
「ユラ。……俺ら、そろそろ付き合わね?」
「…あ、はい……」
貴方は、尊敬の対象で。
私が隣に並ぶなんて、そんなおこがましいこと出来るわけないと思っていた。
「伊織に告られた?…って今更?」
翌日の放課後。
友人に相談したら一言で一掃された。
渋谷で知る人ぞ知る伊織さんは、私の先輩だ。
以前からよく構ってもらっていたけど、まさか告白されるなんて思いもしなくて。
「あんな自然に言われたら……思わず頷いちゃうよ……」
伊織さんは、私の事を好いてくれてるのかな?
私の一方的な思いじゃないのかな?
一人で考えても仕方ないのだけど。
「おま…っ、それノリで告白オーケーしたっつぅ話か?!」
「……はっ?」
聞き慣れた声がすぐ後ろで聴こえて振り返る。
そこには頭を抱える伊織さんの姿。
え?なんで???
「うぉぉ……まじかよ……てっきり俺、ユラからは好かれてるもんだと……」
「え、えっ?……す、好きですよ!私っ……伊織さんのコト……!」
なんだかよく分からない誤解が生まれているような気がして、慌ててそう告げると、伊織さんは驚いたように此方を見つめる。
綺麗な色の瞳が、私を見据えた。
「……でも、お前、さっき「思わず頷いた」的なこと言ってなかったか?」
「あ。……っそ、それは……」
まさか聞かれていたなんて。
恥ずかしさのあまり俯くけど、伊織さんの手によって、上を向かされてしまう。
「ユラ、話せよ。聞くから」
優しく促されれば、逃げ場なんてない。
「……っあの、伊織さんは……私のコト、す、好きなんですか……?」
我ながらアホっぽい質問だったけど、彼は呆れたりせず、微笑んでくれた。
「好きに決まってんだろ?……不安になったら、いつでも言ってやんよ」
いつだって自然体の伊織さん。
その心を疑うなんて、そんな必要全くなかった。
「誰よりも、ユラを愛してる」
そんな貴方を、好きになったのだから。
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2.5次元妄想デートから産まれたネタ。
(11/09/08)
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