3、復讐に




以前の俺を知っていて、現在でも変わらずに友人でいてくれる人物が、二人いる。



二人の内の一人は、遠い親戚にあたるロアという男で。
綺麗な顔立ちをしていて、勉強も出来るが、人前に出ていく事を極端に嫌う。

だからブラックのような派手さはない。

そこに好感が持てる。



そんな彼と俺は、今、一つの内容について話し合っている。



テーマはそう。

シリウス・ブラックへの復讐。






「まぁ……ああいう軟派なタイプは、プライドを傷つけてやるのが一番良いと僕は思うね」


「…プライドを傷つける……」


「例えば、ユラに夢中にさせといてボロ雑巾のように捨てるとか?」


「ぼっ、ボロ雑巾……?」


時折激しく口の悪いロアが、柔らかな質の金髪をクシャリと弄る。

少し考える仕草をしてから、まるで新しい玩具を見つけた子供みたいに満面笑顔を浮かべた。

俺は僅かに息を飲む。


「……そうさね。折角の復讐なんだ、キミも楽しまないと」



「……っ」



「ゲームだと思えばいい」


まるで悪魔の囁き。

甘美なその声音に、俺は躊躇わず喰いつく。


「俺に、……出来る?」


「今のユラは以前よりずっと魅力的だよ。それに幸い、彼方もキミに興味を持っているようだし」


自分ではよく分からないけど。

先日、ブラックと遭遇したときの話をしたら、ロアからはそう言われた。


「……ただし、不用意に近づき過ぎない方がいい」


ヤツもたった二年で数多の女の子達を泣かせてきたような男だからね。

そう言ってロアは微笑んだけど、俺は笑わない。





他人からの傷が、どれだけ深いものか……アイツは知るべきだ。





こうして、幕が上がる。

俺の愚かな復讐劇。










(11/08/28)



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