1、過去に
俺がまだ男だった時のことだ。
グリフィンドールに、とても派手な男子が入学してきた。
シリウス・ブラック。
奴は純血を重んじる、ブラック家の嫡男だった。
それがグリフィンドール寮に入ろうものだから、一時それは騒ぎになったものだ。
ブラック自身は周囲の好奇に動じることもなく、平然と日々を過ごしていたのだが。
そして、スリザリン生である自分は、関わることもないだろうと思っていた。
そんなある日、唐突に呼び止められた先に、その黒は待ち構えていた。
謂れのない侮蔑と辱めを受けても、その時の俺にはどうしようも出来なかった。
ただ幼さ故の愚行だったのかも知れない。
だがそれは、俺の心の深い深い芯の部分に、膨大な傷を残した。
その日から、ブラックという存在は俺の中で「憎むべき対象」となる。
(11/08/28)
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