ファミリア!5
(※トリップ&万屋居候設定)
まさかの、未知との遭遇。
「なに?未知って俺のこと??」
「いやいやいやいやっ!すみません心の声ダダ漏れでほんとすみません!!!」
なんでこんなコトになったのか、誰か教えて欲しい。
目の前に佇むピンク頭の彼から目を反らさず、私は心だけでそう思った。
いや私、バイト先の買い出しに来てただけなんだけど。
ただその途中で近道しようと思って知らない路地に迷いこんだだけなんだけど。
そこでたまたま、夜兎である、彼と遭遇してしまっただけなんだけど。
たぶん、いま目を反らしたら。
殺られる。
あ、でもよく考えたら神威サン目ぇ開いてないや。
神楽ちゃんによく似てるのに、全くの別ものピンクだ。というか違いすぎる。
「まぁおちおちおちついてください神威サン話し合えば解り合えるはずですとか思ってないですけどとりあえずそれ以上こっち来ないでくださいお願いします」
ノンブレスで言い切った私すごくね?
人間必死になれば結構がんばれるんだ…。
そんなことに気づいた夏の日。
「あんたがまず落ち着いたら?……というかなんで俺の名前知ってるの?」
「あ」
終わった。
今まで誰にもやらなかったはずの、トリップ者の初歩的ミスを犯してしまった。
「ねぇ、なんでさ?」
一歩。
彼がこちらへと歩み寄る。
不動の笑みを称えたまま。
「あ…実は、その、……」
「なに?聞こえないヨ」
絶体絶命。
実はそんなに使う機会のない四字熟語が頭を過った。
まだ、やりたいこといっぱいあったんだけどなぁ。
銀さんたちにお礼も言えてないや。
でも、ごめんなさい。
ユラは現世とお別れの時間のようです。
たぶん神威サンならさっぱり痛みを感じる間も無く殺してくれると思うので、その辺は安心だ。
「……ねェ、別に俺、あんたを殺すつもりないけど」
「あ、そうですよね。神威サンならドスッと一発で殺すつもりない……。殺すつもりないんですか?!!」
「今すぐ現世とお別れしたいなら殺してあげるヨ?」
「全力でご遠慮します!!!」
まさかの展開だ。
というか私また心の声出てたのか。
いい笑顔ですぐ前に立った神威サンを改めて見れば、確かに殺気のようなものは感じられなかった。
反応に困っていると、彼はまっすぐに私の持っている買い出しのビニール袋を指差した。
「なにか、食べさせてもらおうと思って」
え。なにこの可愛い生き物。
首を傾げた彼に、私のハートは一撃で陥落した。
―――……。
「あんた、なんていうの?」
「へ?」
「ナマエ」
「あっ、楢川ユラです!」
「ふーん……。ユラ」
「は、はい?」
「またゴハンもらいに来るヨ」
(かわいすぎる!!!)
楢川ユラ。
友達が増えました。
――――――――――
神威いけめんやな。けどいまいちキャラがわからない……orz
(11/07/28)
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