ファミリア!4


(※トリップ&万屋居候設定)




「おー、不審な女がいると思ったらユラじゃねーですかィ」

「あ。沖田君」

「ちょいと話を聞かせてもらおうか」



「まじか」


爽やかなイケメンから職質にあいました。

いや、私、買い物してただけなんだけど。


 ―――……。


「で。アンタはいつまで万屋の旦那のとこにいるつもりなんですかねェ」

「えっ、ダメなの?!ちょ、私もう路頭に迷うのヤダよ!」

「真撰組(ウチ)で面倒みてやりまさァ…ムショ暮らしも悪くないかもしれないぜ」

「まだ警察の世話にはなりたくないです」


彼は妖しく笑ってもイケメンだから厄介な子だ。

でにぃずの席に向かい合って座ってパフェを頬張る私たち。


「……あれ?コレちょっとデートみたいじゃね?」

「勝手に妄想相手にしないでくれやせんか?迷惑極まりない」

「全否定だね!!」


ちょっと言ってみただけなのに。

まぁ、こんなイケメンが彼氏とかほんと申し訳ないけど。
てか私何回イケメン言ってるんだろ。


ぼんやりしてたら、沖田君が私のパフェからバナナを拐っていった。


「で?ユラはいつまで万屋の旦那のとこにいるつもりなんですかねェ」

「……あれ、デジャヴ?てかバナナ……」




「最初から、俺のとこに来ればよかったのに」


若干強めの口調に、私は首を傾げる。


確かに、真撰組に行っても悪くなかったかもしれない。

でもやっぱり、最初に銀さんに出会えたのは、一種の奇跡に近いものだったと思うんだ。

まぁ、まずトリップ体験自体が奇跡だけどね。


「…うーん、……やっぱり私は、銀さんに最初に会えてよかったかな」


素直に口から出た言葉。
それを聞いて、沖田君はなんとも形容し難い表情を浮かべた。

悲しみとも、怒りとも取れるような。


その意味を問う間もなく、私のパフェから二個目のバナナが消えた。


「ほーんと、ムカつく女でさァ。ユラは」

「えぇっ?何否定?!……しかもバナナ……」


「せいぜい旦那とイチャイチャしてやがれ」


いっ。

……イチャイチャって。




死語だろ。沖田君。

結局、沖田君が何を言わんとしていたかよく分からないままだったけど、パフェ代金は彼が支払ってくれた。


「また、デートして下せェ」


別れ際、そんな一言を残して。








――――――――――
あれ?ちょっとラストシリアスじゃね?
(11/07/27)

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