008
「おはよう、ユラ」
「ヨウスケ、おはよ……う?」
フワリと掛けられたストールに、驚いて顔を上げたら。
悪戯っぽい色を潜ませた青い瞳とぶつかった。
「え、これ……?」
「クリスマスプレゼント」
「……!あ、わ、私!何も用意してない……!」
微笑むヨウスケにそう告げれば気にするなと頭を撫でられる。
他のことで頭がいっぱいで、クリスマスプレゼントのことを思いつきもしなかった自分が恨めしい。
「いいんだ。ハコダテでユラは俺にマフラーをくれただろ?」
「でもそれとこれとは別だよ!あぁぁ……そうだ、何かして欲しいこととかない?私がヨウスケに出来ること、っなんでもするよ!」
「!……なんでも?」
「うん!なん、で……も」
言ったあとに、しまったと思っても遅い。
仮にも自分に好意を持ってくれている相手に「なんでもする」なんて。
色々ひどすぎる。
フッと溢された笑みは、私の心を見透かしたようなもので。
「じゃあ」
優しく抱き締められているのに。
息をするのが苦しい。
「これから先もずっと、俺がユラを好きでいることを許してほしい」
ヨウスケの言葉が、私のなかにゆっくりと、確実に降り積もっていく。
(13/1/24)
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