『水色curtain』




学園祭は滞りなく終わって。
風門寺君の言っていた通り、クラスXの模擬店は大盛況となった。





そして、週末。





「楢川、すまない……待ったか?」

「大丈夫ですよ、私もさっき着いたところですから」

「「………」」



約束通り待ち合わせ場所で合流した七瀬君と私は、まるでカップルのような会話をしてしまったことにお互い気まずくなっていた。



「……と、とりあえず行くか」

「は、はい」



その空気を断ち切って歩き出した彼の後に慌てて続く。
でも直ぐに小走りで追いかける私に気づいた七瀬君は、困ったように微笑んでから歩調を緩めてくれた。

普段こそ、ぶっきらぼうだけど。
七瀬君は優しい。



「七瀬君……ありがとうございます」

「……っ、別に、礼を言われるような事じゃない」



何だか擽ったい気持ちで、彼の隣を歩く。

七瀬君からふわりと香る甘い匂いに、あの時の事がリフレインする。



正直、学園祭が終わってからもずっと、真壁君のことをずっと引き摺っていた。



でも、今日だけは。



少しだけ忘れていよう。










(12/12/17)


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