繋いだ両手




「寒い」

「……冬だからな」

「タクト冷たい」

「……、冬だからな」

「わぁぁぁ!!!」

「……っ、おい抱き着くな!!」



可愛い彼女が寒がってんのに本から目も上げないってどういう事だ。

ムカついてタクトの細い腰にしがみついてやったら。
案の定慌て出す。ざまぁ。



「寒いの!リュウキュウだって冬は寒いの!」

「それは当然だ!だが大袈裟だろう、その寒がりは……!」

「…………。喰らえ、我が氷の両手ぇぇぇぇぇ!!!」

「ひっ」



何が寒いかって。
冷え性の私は、この時期とにかく手足が痺れ通り越して感覚なくなるくらい冷たいんだ。

頬に触れた私の両手にひきつった顔をするタクト。
暫く固まっていたけど、ため息一つついて本を置く。

一連の動きを手を離さずに見守っていたら、ふわりと冷たい両手が包み込まれた。

イメージ的に、タクトの手も冷たいのかと思っていた。



「……体温をありがとう。あと手、繋げて嬉しい」

「……っ、ユラはもう少し理性をもった言動をすべきではないか……?」

「そしたら私たち超プラトニックカップルになっちゃうでしょ」



握り締められた手の温もりに笑顔を禁じ得ない。

照れたようにそっぽ向くタクトが可愛くて、そのままその胸に飛び込もうか迷ったけど。



「……タクト、好き」

「……、ああ……」



強く握り返された手に。



自分の両手の温度がもう少し上がるまでは、このままでいようかなと思った。










――――――――――
自分の手足が冷たすぎて起きるとか。
(12/12/12)


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