『Lemon popの瓶』



ユラは決して美人なワケではないし、特別な何かをもっているわけでもない。

だが、俺はなぜかいつも。

彼女から目が離せないんだ。










家の窓枠の所に置かれた一本の瓶。

目に止まると、自然と笑みが零れる。



夏祭りの日。
帰り際に通り掛かった屋台で、ユラが買って俺にくれたものだ。

ただのガラスでできた瓶。
ラムネ、とユラは言っていた。

フタを開けたときにすごい勢いで泡が飛び出し、思わず取り乱してしまったが。
アイツが笑っていたから、まぁいいことにしておく。



陽光を受けて、ガラスが煌めく。


大して値打ちの無いものだと知っているのに。
それが輝く様は、ひどく価値の有るものに思えた。





窓から入り込む風は僅かな冷たさを帯び、秋の到来を告げていた。









(12/11/18)



[ 84/189 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -