ファミリア!3
(※トリップ&万屋居候設定)
「あ、おはようメガ…………新八君」
「いや今ユラさん、メガネって言おうとしましたよね??」
「そんなことないメガネ。勘違いだメガネうざいメガネ」
「オィィィィッ!!!明らかに語尾不自然だろうがァァァッ!!てか最後のただの悪口!!!!」
メガネの新八君(ツッコミ担当)は今日も元気です。
―――……。
「で?なんの話だっけ?新八君のメガネが砕け散ったって話だっけ??」
「ちょ、全然違いますよ!!てかユラさん!アンタ絶対まじめに聞いてないでしょ?!」
とりあえず年上のお姉さんとして、新八君の話をしっかり聞いてたフリしたけど、すぐに聞いてなかったのがバレてしまった。
全力でツッコミを入れてきてくれる彼に、ある種の快感を得る私。
いや、変態じゃないよ。
ツッコミが好きなだけで。
「……今日もフルスロットルだねー」
「…そんな感心したように言わないでください…泣きたくなるんで」
私も元々ツッコミ体質だったはずなんだけど、こっちに来てからというもの日々つっこまれてばかりいる。
いや沖田君とか九ちゃんにはツッコミ魂が発動するけど。
つかこの話始まって何回“ツッコミ”って言ったっけ。
「だから、その…姉上に日頃の感謝をこめて何かプレゼントしようと思ってるんですけど、何がいいか分からなくて……」
「そんなん金だろ」
「いやいやいや…未成年に何てこと言うんですか」
「けどお妙ちゃんならそう言うよ」
「……」
否定できないらしい新八君の肩にそっと手を置いて溜め息をつくと「やめてください!慰められると余計落ち込みますよ!」て言われた。
「まぁ冗談はさておき。……私なら兄妹から何か貰えたらそれだけで嬉しいなー。あ、もちろん常識の範囲内でのプレゼントだけど」
「え?」
「異性だと悩むよね。ハズレなしで選ぶならちょっとオシャレ感のあるお菓子詰合せとかは?」
お妙ちゃん甘いもの好きだと思うし。
そう言って笑えば、新八君は驚いた表情で固まっていた。
あれ?私なんか変なコト言った?
「あ……ありがとうございます」
「え?え??なにが?」
「いえ、そんな、真面目なアドバイスが貰えるなんて思ってなくて…」
「ヲイ」
でも確かに序盤でからかい過ぎたもんね。
照れたように頭を掻く彼に、ちょっとは役に立ったかと尋ねれば、満面の笑みが返ってきた。
「ユラさんって、いつもふざけてるフリして、最後にはちゃんと悩みに応えてくれますよね!」
「……え、それ褒めてる?」
「ユラさんのそういうトコ、銀さんと似てると思うんですよね」
「……!!」
まさかの誉め言葉に固まる。
私には、銀さんみたいな懐の深さなんてない。
ただ、僅かな時間だとしても、この世界のみんなと良いカタチで関わっていきたいって思っただけ。
愉しくて有意義な毎日を。
私が無感情で在ることを、銀さんが否定してくれたから。
でも、そうしてくれたのは、銀さんだけじゃなかったのかもしれないね。
「僕は、素敵だと思います」
柄にもない。
嬉しくて笑顔になるなんて。
だけど、ホントは気づいてる。
ここに来てから、私はずっと笑顔だってこと。
――――――――――
うっかりシリーズ化(笑)
(11/07/12)
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