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ヒジリ君達がハコダテに到着したとの連絡がしばらく前にあった。



今頃、彼らは寒さに震えてるのかな。



そんなことを考えていたら、携帯に着信が入って。





「もしもし……?」

『…………』

「え、……ヒジリ君、だよね?」

『さみぃ。ハコダテまじさみぃわ。ユラ今すぐ温めてくんねーかなガチで』

「えぇぇ!?開口一番のムチャぶり?!!」



無言からのムチャぶりって。

思わずつっこんだ私のことを笑うヒジリ君だけど、今のは突っ込むだろう。誰でも。



今は自由時間で、街をブラついているらしい。



しばらく雑談をしたあと、不意にヨウスケのコトが気になって殆ど無意識に口を開いていた。



「あの、ヨウスケはどうしてる?変わった様子とか、ない?」

『は?』



思っていたよりもずっと低いトーンの返答に戸惑う。



もしかして、なにか、勘づいたのかも。

これから起こる、ことについて。



なにかフォローを入れるべきか迷っていると、少し嘲るような色を孕んだ声が、耳に直接響いた。



『なんでヨウスケ?タクトじゃねぇの?』

「……ぇ、……タクト?」

『ま、どっちにしたってアイツらのコトなら直接電話でもして聞いたらいんじゃね?ユラの声聴いたら喜ぶだろーし』

「ちょ、ヒジリ君……っ」



立て続けに言われて内容を反芻させる隙もない。
慌てて名前を呼ぶけど、彼の口調は変わらず。
そのまま半ば強引に通話は打ち切られてしまった。





「………」





無機質な音を発するだけとなった携帯を呆然と眺めて。
私はしばらく動けずにいた。










(12/10/28)



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