君にリボンを
「ユラ!こんな所にいたのですね!」
「……二之宮クン…悲しいくらいユニ○ロとマッチしてないね、キミ」
買い物中に駆け寄ってきた美少年に、私は寂しい視線を送った。
つか何しにきたの。
「…お姫サマの護衛は?」
「僕のプリンセスは貴女だけですよ、ユラ」
「いや……ユニ○ロでそんなこと言われても…ねぇ…」
TYBの出場者だった完全無欠王子…二之宮悠斗クンと出会ったのは、ヤマノテドームの近くの喫茶店だ。
一回戦に残念な結果を出してしまった出場者たちは、二回戦に進出した三人と違って姫との交流は叶わない。
そのかわり、全力で後のTYBのサポートと姫の護衛を行わなければならないという、私からすれば非情極まりないルールがある。
「…二之宮クンは…大会について思うとこはないのか」
「TYBは残った君の幼なじみが奮闘してくれるでしょう。今の僕は、どうやって君に振り向いてもらうかに心が傾倒していますから」
とりあえず他にすることないのか君は。
高尚な方の考えることは分からん。
「…まぁ…伊織が優勝すると思うけどさ、私も」
なので、その点だけ同意しておく。
幼なじみのワイルドルーキーこと桐島伊織は今回のTYBの優勝候補らしい。
あまり詳しくないけど、アイツの人柄とか考えると、なんとなく分からなくない予想だと思う。
つか他の参加者、二之宮クン以外知らんけど。
「……貴女も、伊織君のような男が好みなのですか?」
「……は?」
唐突な質問に驚いていると、不意に彼との距離が縮まった。
信じられないほど整った顔がすぐ目の前にきて戸惑う。
「ちょ…!に、のみやク…」
「僕の全てを、貴女に捧げます。僕の心、体、時間、すべて…」
「えっ?」
「ですから」と、彼は続ける。
「ユラのすべてを、僕に下さい」
熱烈な愛の告白は、彼の本気。
絹のような滑らかな金色が、視界を支配していく。
「……二之宮クンにあげられるほど、大層なものは持ってないよ…」
苦し紛れにそう呟けば、まさしく、王子様のような笑顔が返ってくる。
「貴女が下さるものは、僕にとっては一つ一つが価値あるものなのですよ」
この人は本当に、存在自体がお伽噺のようだ。
でも、その物語に嵌まってみるのも悪くないかもしれないと、思い始めてる私がいた。
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MINTしか持ってないのになぜかニノ。鈴村サンの声がすきだ(←
(11/06/28)
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