鳥が歌う前に





「……ん、……?」

「あ、悪い起こしたか?」

「……ん、ん〜……へー、き……」



タオルケットを掛け直そうと近づいたら身じろいだから、咄嗟に声をかけた。

ベッドの中で伸びをしてまた体を丸めた彼女がまるで猫みたいで、思わず笑みが零れる。
本人はまだ微睡んでる真っ只中らしい。



「ユラ。今、朝食を作っているところだから…まだゆっくりしていてくれ」

「………………おきる」

「え、」

「………てつだう、よ」



言いながらムクッと体を起こすユラ。
てっきり二度寝に入るとばかり思っていた俺は驚いて彼女を見つめる。



「なにしたら、いい?……」

「眠いならムリしなくていい、俺がやっておくから」

「……だい、じょぶ。顔、洗ってくる……」

「……。ユラ」



まだ覚醒しきれてない目を擦って、洗面所へ向かう背中を咄嗟に呼び止める。



ゆっくりと振り向いたその唇に、キスを落とす。



「おはよう」



パッと花が開くように。

彼女の頬に赤みがさし、眠た気だった瞳が見開かれた。



「……〜っ、おはよう…」

「目、覚めたみたいだな」

「おかげさまで!」



恥ずかしかったのか、慌てて洗面所へ駆け込む彼女を見送って俺は朝ごはんの準備に移った。





そんな優しい朝の風景。










――――――――――
ヨウスケみたいな旦那様ほしい。
(12/10/22)


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