腐った果実





あ、オマエちょっとヒマ?
オレの話聴いてくんねー?



こないだの席替えでオレの前の席に来たコがいんの。
またコイツが変わっててさぁ。

あんま喋んないのかと思ってたら突然振り返って、真ちゃんのこと聞いてきたり。
だから真ちゃんのことが好きなんかと思ったら、今度はオレのことめっちゃ聞いてくるし。



読めねーっつかなに考えてっかまじわかんねー。







「高尾くん、ってさ」

「ちょいまち」

「え?」

「今日はオレに質問させてよ」



なんかこっちばっか情報収集されてるみたいで癪だったから、その日は先手を打ってみたわけ。

そしたらそいつ……楢川は、ちょっと驚いた顔をしたけどすぐにいつもの無表情に戻って頷いたんだよ。



「楢川ってさ、普段は大人しそうにしてるけど、実際のとこどーなの?」

「どう、って」

「前に真ちゃんのこと聞いてきたときは結構テンション高かったじゃん?」

「……まぁ、私……腐ってるので」

「は?」



少し躊躇ってから、オレのこと真っ直ぐ見つめ返してくる楢川。

なに?
腐ってる???



「……どゆこと?」



単純に疑問をぶつけた。
見た感じフツーだし、いやむしろ可愛い方の部類に入る楢川が腐ってる、って。

実は真面目そうに見えて結構ワルとか?
盗んだバイクで走り出しちゃったりとか。



「……高尾くんって、そういうの縁が無さそうだものね」

「そういうの……?」

「……まぁ、所謂、高尾くんと緑間さんがキャッキャしてたら美味しい人間なの」

「…………………は?」

「だから、高尾くんと緑間さんだったらどっちが上かしら、とかマジで考えてるなう」







すげぇいい笑顔で告げてきた楢川に胸がときめいたオレは……。





「男としてどー思う?真ちゃん」

「終わっているのだよ」










――――――――――
高尾くんって実は良識ありそうだから一癖あるコに振り回されて欲しい。
(12/9/26)


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