ファミリア!2
(※トリップ&万屋居候設定)
「いらっしゃいませー!ご注文はお決ま……、ぁ」
「……、ユラチャン?…なにしてんのこんなトコで」
「…………えっと、ご注文……」
「いやいやいや。銀サンを誤魔化そうったってそうはいかな…」
「…ぉ、オーダー入りまぁす!イチゴパフェおひとつーっ!!!」
「「「イチゴパフェおひとつ〜っ」」」
「いや、ちょ、俺の話聞いてェェェ!!」
―――……。
銀さんってば、なんでいつもはこんな遠いトコにあるカフェなんて絶対来ないくせに、私がシフトのときに限って来るかな?
まさかバイトしてたの最初からバレてた?いやいやまさか。だって銀さんがパチ屋に行く日を狙って週のシフト組んだんだから、そうそうバレるわけないよね。
でも偶然にしては当たりがよすぎるっていうか…実は発信器かなんかつけられてるとか?いやいやまさかまさか。発信器とか買うお金あったらエアコン新調しろって話だしね。
しかしじゃあホントになんで来たんだろ??ほんとないわコノヤロー。やっと仕事覚えてきたとこだぞコノヤロー。私だって働きたいぞコノヤロー。
「……。ユラチャン……それ以上言われたら銀サンまじ立ち直れないから。ハートブレイクどころか霧散して修復不能になるから」
「あ、ごめん。口に出してた?」
「あれで自覚ないとかまじないわお前」
…だって悔しかったんだもん。
そう呟けば、困ったように笑う銀さん。
「…ユラ、本気でバイトしたいのか?」
「うん。やっぱり、…ただお世話になりっぱなしなんて…やだよ」
俯きそうになるけど、真剣だってことを分かってもらいたくて、銀さんの目をまっすぐ見つめ返す。
少しだけ視線を動かしてから、銀さんは溜め息をついた。
「……、頼むから、むやみやたら愛想振り撒くのは止めなさいよ。男って生き物はすぐに勘違いすんだからな?」
「愛想振り撒くのが接客業でしょ?」
「ほらそれダメ!首を傾げない!!可愛いでしょーが!!」
「えぇぇ…っ?!」
基準がよく分からないよ。
でも、どうやらバイト許可は降りたらしい。
これから、少しは貴方の役に立てるかな?…そうだと、すごく嬉しいな。
私、がんばるね。
心の中で呟いて。
私は笑みを浮かべた。
「ちょ、その笑顔もダメ!銀サン的に可愛すぎます!!」
「…………」
ちょっと既にもうめんどくさいけど。
――――――――――
お父さんちっくな銀さん。
(11/06/21)
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