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第二十七話「告白」
「ヨ、ウ、スケ……っ!ちょっと、ま……って……!」
「……!あ、……悪い」
「わふっ」
リーチの差を考えて歩いて欲しかった。
やっと止まってくれたヨウスケに激突したあと。
思いっきりため息をついたらもっかい「ごめん」って謝られた。
「いいよ、怒ってないし、それに……」
「……ユラ?」
「……、タクト達の話、聞かないように気を使ってくれたんだよね」
「……っ」
固まってた私。
ヨウスケがいなかったら多分、最後まで聞いてしまってたと思う。
どこまで話が発展しちゃったかは定かじゃないけど、どのみちきっとタクトやヒジリ君と気まずくなってたと思うし。
「だから、ありがと……」
「違う」
「え?」
「違うんだ……、俺が、聴かせたくなかっただけなんだ」
お礼を告げようとした私をヨウスケが遮る。
青色の綺麗な瞳は、俯いた黒髪に蔭って窺えない。
「ユラ」
「……な、なに?」
いつもは目を見て話してくれるヨウスケだからこそ、不安になる。
何か、あったのかな。
そっと探るように触れた指先が、微かに震えていた。
「ユラが好きだ」
「……え、……?」
その瞬間。
全部の音や時間が止まって。
私の意識はぜんぶヨウスケに集中した。
「……な、に言って……え、え?すき、て、どういう……?」
「ユラを守りたいって思うのも、一緒にいたいって思うのも……好きだからだ」
「……っ、ちょっと、待ってヨウスケ!」
「初めてなんだ、こんな感情……」
握られた手から伝わる彼の熱。
熱くて、優しい、ヨウスケの温度。
でも、それを向けられるはずなのは、ほんとうに私?
無骨な指先を見つめたまま、私は何も言えずに目を伏せた。
(12/9/19)
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