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第十九話「痛恨」
必死で避難誘導してる途中、赤の侵蝕が始まったのを空気で感じた。
アキラさんや、皆は、グランバッハと対峙してるんだ。
「……、あ……っ」
意識が余所に反れた、一瞬の出来事。
踞る女性の上に、破壊された建物の瓦礫が落ちてくるのが目に入った。
無意識の行動、ってこういう事かな。
彼女を突き飛ばした私は、頭を鈍器で殴られたみたいな強い衝撃に襲われた。
あぁ、瓦礫が当たったんだ。
嫌に冷静な考えが過る。
間に合ったのかな。
女性は、怪我しなかった?
少しでも、私は役に立ったのかな。
まだ、まだ、やらなきゃいけないこと、沢山あるの。
だから。
「……っユラ!!!」
声が、聞こえた。
私を呼ぶ、彼の声。
意識は、そこで途絶えた。
(12/8/18)
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