焦れる焦がれる。



なんてことはない。

ただ、貴方の空間を味わっただけ。



涙が止まらない意味が自分でも解らなくて、ぐちゃぐちゃになった顔を、ハンカチに押し付けた。


「……オイ!」



「……!え、ぇぇ…?…ヴァン、カイエン…?」



「…よかった…見つけられた」


ロマンシアのライブ会場から程なくの公園で、私は彼と、二度目の邂逅を果たした。

といっても、一回目は、一対大勢のファンの中の一人。
彼みたいに眩しい人が、私個人に気づいたはずもない。

なのに、彼は、私を知っているかのように迷いなく此方へと歩み寄ってくる。


「オメェなんで…泣いてンだよ?」

「……ぇ、…」

「会場で、目が合って、なんか、急に泣き出すし…」


そうだ。
初めてのロマンシアのミニライブ参戦に、会場に入るまではあんなに張り切っていたのに。

なぜだか、ヴァンの姿を目にした途端、涙が止まらなくなって。

結局ライブが終わるまで私の涙腺は崩壊したままだった。
それでも、彼から一度も目を反らすコトなんて、出来なかったのだけど。


「……あ、あの……」

「よく分かんねぇけど、…なんか、オメェから目が離せなくなったんだ」


「……え?」


「だから、ライブ終わった瞬間、会場から飛び出してったオメェを、必死で捜したんだぜ?」


一瞬、何を言われてるのか解らなくて。
必死で瞬きを繰り返したけど、どうやら夢じゃないらしい。

肩に触れた手の温もりが、私に強く訴えかけてくる。


「…なぁ、名前、教えてくれよ」

「……ぁ、ユラ、です…」



「ユラ。…ユラのコト、もっと知りてぇ…」



気がつけば涙はとうに止まっていて。

緊張と言い知れぬ興奮で、声が震えたけれど、ヴァンは笑顔で包み込んでくれた。


「……私、も…貴方のこと…知りたい…」


素晴らしい必然の偶然に感謝を。



「…教えて、くれますか?」








――――――――――
こういう夢を見ました。夢の相手は妻子もちの方でしたorz(←
(11/06/18)

[ 129/189 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -