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彼に相応しい女の子って。
どんな子だコノヤロー。
私の彼氏様はそれはもう見目麗しい王子様のような人だ。
中身は限りなく変態に近いイケメンだけど。
「沙紀。今度、家に遊びに行ってもええか?」
「いいけどー、何もないよ?漫画くらいしか」
「沙紀と二人きりの空間で同じ空気が吸えるなんてそれだけでエクスタシーやから」
「おまえガチでファン減るぞ」
変態すぎて忘れがちだけど、白石は本当にモテる。
彼女がいようといまいと、逆ナン率は減りもしない。
それは多分、彼がどんな女性に対しても平等に優しく振る舞うからだと思う。
そういう所が好きだから、何も言わないけれど。
逆に白石は、私のドコが好きで付き合ってるんだろうか。
「どないしたん?怖い顔して。可愛い顔が台無しやで」
「あ。大丈夫、元から可愛くないし」
ほっぺをツンツンされて、思考を中断させられる。
正面に向き直れば、ちょっとだけ怒った顔の白石と目が合った。
「そうやって自虐するほど沙紀は不細工やないし、寧ろめっちゃ可愛いっちゅー話や」
「白石の可愛いレベルが低すぎるんだよ」
「そんなことあらへん」
「そんなことあります」
真顔で言われても、実際周りの女のコ達の見解は間違ってないと思う訳だ。
黒河さんじゃ、白石君の隣に立つのに相応しくない。
なるべく白石とつり合うようにと努力は怠っていないつもりだけど、どんなに努力しても埋まらないビジュアルの壁はある。
これは最早整形するしかないレベルの話だ。
白石は、悪くない。
コレは私の問題だ。
「……沙紀は、自覚が足りん」
「は……?」
突然、俯いて話し出した白石を見つめる。
表情は見えないけど、怒ってるわけではないようだ。
「自分が気づいとらんだけで、どれだけ他の男に見られとるか……」
「え?いやいやないない」
「あるから言うとるんや」
綺麗な顔が近づいたと思ったら、不意に柔らかいものが頬に当たった。
「……っ、え、いや、白石、いまなに……っ?」
「そういう可愛い顔とか全部、独り占めしたいねん」
同じやから。
そう呟いてから、もう一度、今度は唇が重なった。
「……っ」
すぐに離れたけれど、熱が一気に顔に集まるのを感じる。
「沙紀とおんなじや」
照れたように笑った白石に、心にあった蟠りが消えていくのが分かる。
私が、貴方に相応しい女の子になろうとしているように。
貴方も、私に並ぼうとしてくれているんだ、って。
だから、大丈夫。
――――――――――
連載の番外ぽい感じ。
(11/10/09)
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