iny...
「こんばんは」
「…………え?ちょた??どうしたの?こんな遅くに……」
闇夜に映える銀の光彩が、私の視界を覆う。
チカチカと眩しくて、思わず目を細めた。
「すみません。なんか急に……沙紀先輩の顔、見たくなって」
「……っ、そ、そう」
なんて可愛いことを言ってくれるんだこの後輩は。
俯く姿があまりにも愛しすぎる。
そのフワフワの頭部を撫で回しても怒らないだろうか。
私の心の葛藤を露知らず、ちょたは困ったように眉尻を下げたまま此方の様子を窺っているようだった。
「……とりあえず、上がってく?」
尋ねれば、帰ってきたのは爽やかなYESで。
「ハイ!……実は先輩ならそう言ってくれるかなぁって……、プリン買ってきてました」
まるで、悪戯に成功した子供見たいに微笑うから、私もつられて笑顔になる。
「一緒に食べませんか?」
可愛い後輩のお願いを断るほど、野暮ではありませんよ。
ニッコリと頷けば、鏡のように満面笑顔が返ってくると知ってるから。
今夜は少し、長く過ごしましょう。
(11/10/04)
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