青の行方2


「…苛めてねぇよ」

「フフッ、そうかい?じゃあいいんだけど」


視覚的に素敵なツーショットだけど、今の私には大変いたたまれない。


「…それはそうと、黒河」

「なっ…なに?幸村」

「ちょっといいかな?」

「え、う、うん」


急に此方へと向き直った幸村に戸惑いながらも、咄嗟に頷く。
それを確認してから、彼は跡部に一言告げて踵を返した。


「俺についてきてくれないか?」


そんなニッコリ微笑まれて、断れる奴がドコに居ようか。


「おまえ、ホントに分かり易いやつだな…」


隣で跡部がなんか言ってたけど知ったことじゃない。
一応私も「じゃ、また」と声を掛けてから、幸村の後に続いた。


 ―――……。


「……どこまで行くの?」

「もうすぐ着くよ。…疲れたかい?」

「あ、全然へーき。むしろ幸村こそ大丈夫?」

「あぁ。…空気が良いからか、逆に調子が良いくらいだよ」


熱帯雨林の中を歩きながら、会話を交わす。
半年前の私に、こんな場面が想像出来ただろうか?

幸村の後ろ姿に、自然と笑みが浮かんで、足取りが軽くなる。


「……黒河もここに来てから、ずっと楽しそうだね」

「そ、そう?」

「ああ。…もしかして無自覚?…色んな奴に笑顔振り撒いてて、ちょっと妬けたんだけどなぁ」

「そ、そうなん……ぇえぇぇっ??」


振り向かない幸村の真意は分からない。

けど、冗談じゃなければいいな、と心のドコかで思ってる自分がいた。




「あ、見えてきたよ」

「……、え」


ぼんやりしていたせいで反応が遅れてしまう。

顔を上げた先に見えたのは、岩場。


「ここ…洞窟?」

「もう少し奥にね、君に見せたいものがあるんだ」


「足下に気をつけて」と先導してくれる彼に続く。
ほんの少し進んだ所に、開けた場所があった。


潮の香りが漂う。


「……うわぁ…っ」


目の前に広がった一面青色の世界に、私は言葉をなくした。

隣で、幸村が表情を和らげたのを感じる。


「すごいよね、澱みのない青って、こんなにも綺麗なんだ」


キラキラと水面が外から射し込む僅かな光を受けて輝く。
その光すら、洞窟内の色に染められ青に変わる。

本当に、美しくて。


「……きれい…」


その言葉しか、出てこなかった。







まだつづきます→

――――――――――
なんか収集つかなくなってきた(笑)幸村ルートの洞窟はまじきれいです。
(11/06/25)

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